30年ぶりに司会者ナシ
2019年のアカデミー賞はコメディアンのケヴィン・ハートが司会に選ばれたものの、同性愛者に差別的な過去のツイートが問題視された結果、オファーが白紙に。授賞式を主催する映画芸術科学アカデミーは最終的に、30年ぶりの「司会者ナシ」という異例の決断をして、オスカー像を受賞者に手渡すプレゼンターに司会者のような役割を務めさせると発表した。
ちなみに、最後にアカデミー賞が司会者ナシで開催されたのは1989年。パフォーマンスを目玉としたが「史上最悪」と酷評され、プロデューサーを務めたアラン・カーのキャリアを殺すハリウッドでは有名な一件となった。
「問題だらけのオスカー」はどれだけネタにされる?
司会者ケヴィン・ハートの起用にはじまり、人気映画部門という新カテゴリーの設立、撮影賞や編集賞など4賞の放送からのカットなど、新情報を発表しては炎上して撤回するというパターンを繰り返した2019年のオスカー。この大混乱ぶりがネタにされることは避けられないが、どれだけの辛口ジョークが授賞式で飛ぶのかが見もの。
最多受賞はどの作品に?
ノミネーショントップを走るのは、10部門にノミネートされた『女王陛下のお気に入り』と『ROMA/ローマ』。最多受賞の行方のほか、作品賞の結果も要注目。Netflixオリジナル映画である『ローマ』が受賞した場合は、配信系初の快挙となり、映画制作元のパワーバランスに大きな変化が訪れたことを告げることとなる。
2019年は「実在」がキーワード
2019年は事実をもとにした作品の活躍が目立っており、主演男優賞の5人中4人、助演男優賞の5人中4人が実在の人物を演じた。フィクションなのは両部門とも『アリー/スター誕生』のブラッドリー・クーパーとサム・エリオット。
さらに2019年は「LGBT+」もキーワードとなっており、作品賞にノミネートされている8作品4作品にLGBT+との関連性がある。
グレン・クローズの「最高記録」が終わるか?
『天才作家の妻 40年目の真実』で主演女優賞にノミネートされているグレン・クローズは、オスカー受賞歴のない女優としては史上最高のノミネート数(6回)を誇っている。しかし今年は最有力候補と言われているため、グレンのそんな“最高記録”にストップがかかる可能性がある。
マハーシャラ・アリが「スピード再受賞」なるか?
助演男優賞の最有力候補と言われる、『グリーンブック』のマハーシャラ・アリ。『ムーンライト』の演技が評価されて2年前の第89回アカデミー賞で同部門を受賞したマハーシャラが再受賞した場合、同じ俳優が同じ部門を受賞するスピードとしては、トム・ハンクスが1993年(『フォレスト・ガンプ/一期一会』)と1994年(『フィラデルフィア』)に主演男優賞を受賞して以来の早さとなる。
ピカピカの1年生、ヤリッツァ・アパリシオ
最多ノミネート中の『ROMA/ローマ』で主人公クレオを演じたヤリッツァ・アパリシオは、同作が演技に初挑戦した作品。教員学校を卒業した直後に、アカデミー賞主演女優賞ノミネート女優になってしまったヤリッツァは人生初のオスカーでどう観客を魅了するのだろうか。
パフォーマンスは誰が?
2019年の授賞式では、『アリー/スター誕生』、『ブラックパンサー』、『メアリー・ポピンズ・リターンズ』、『RBG 最強の85才』、『バスターのバラード』の挿入歌のパフォーマンスのほか、『クイーン』のヒットを記念して、本家クイーンのパフォーマンスも予定されている。
当初は放送時間の短縮のためパフォーマンスは『アリー/スター誕生』と『ブラックパンサー』のみという報道があったが、『メアリー・ポピンズ・リターンズ』のリン=マニュエル・ミランダが「本当にガッカリ」とツイートするなど、不満が噴出していた。
レッドカーペットでのプロテスト活動は控えめ?
2018年のアカデミー賞のレッドカーペットでは、セクハラや性差別の撲滅運動Time’s Upを支持するために女優たちが黒ドレスで統一。しかし2019年はここまで大々的な運動が行なわれる計画はなく、Time’s Upのリボンがアクセサリーとして投入されたゴールデン・グローブ賞のようになると思われる。
第91回アカデミー賞授賞式は日本時間2月25日(月)午前8:30からWOWOWにて独占生中継される。(フロントロウ編集部)