2011年から放送が開始され、先日、ついに幕を下ろした大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』は、ドラゴンの母デナーリス・ターガリエンや、スターク家の長女サンサ・スタークと次女アリア・スタークなど、強い女性が描かれたことでも評価されてきた。
一方で、全73話が作られた今シリーズに携わった脚本家のうち女性はたった2人、監督はたった1人であることや、女性キャラクターが男性のレイプを肯定するかのような表現があったことなどから、『ゲーム・オブ・スローンズ』における女性の視点の欠如も問題になってきた。
そんななか、英BBCが発表した『ゲーム・オブ・スローンズ』における女性キャラクターが「話した時間の合計」に衝撃が走っている。シーズンごとにまとめられた調査結果(女性:男性)がこちら。
シーズン1 24:76(%)
シーズン2 29:71(%)
シーズン3 28:72(%)
シーズン4 27:73(%)
シーズン5 26:74(%)
シーズン6 26:74(%)
シーズン7 31:69(%)
シーズン8 22:78(%)
なんと、8年間にわたって放送された全8シーズンで、女性の発言率はほとんど20%台という結果に。さらに詳しく見てみると、シーズン1第7話と最終章の第4話における女性の発言率は20%に届かず、1番女性の発言率が高いシーズン4第5話でも、40%は超えるも50%には届かない結果となった。
また、米Lookerが調査したところによると、セリフの多かった登場人物を男女に分けてトップ15を比較すると、男性キャラクターは女性キャラクターより29%セリフが多いことが判明。さらに、調査のなかでは、死んだ設定の男性キャラクターのほうが、生きている女性キャラクターよりもセリフが多い場合もあったことが判明した。
男性キャラクターのセリフには、「男、王、主」などの単語が多く、女性キャラクターのセリフには「愛、お願い、夫」といった単語が多かったことも分かっている。
ハリウッドでは、近年、この「女性キャラクターの発言率の低さ」が問題になっている。サンディエゴ大学がまとめた調査によると、2018年にアメリカで制作された映画で女性が主役の映画は31%で、2017年の24%よりも向上。しかし、発言率に注目して見てみると、2017年は34%だったのに対し、2018年は35%と、たった1%しか変化していない。
そんななか判明した、『ゲーム・オブ・スローンズ』での女性キャラクターの発言率。強く魅力的な女性キャラクターも人気の大きな要因の1つだった今作ですら、女性の発言率の改善は成しえなかった。
米Lookerは、「映画などのなかで女性がどのような役割をしているか、人々は気づいてきています。しかし、もしそこに強い女性キャラクターがいたとしても話さないのであれば、それは失敗です」と、映像業界に根深く残る男性優位社会を指摘している。(フロントロウ編集部)