リル・ナズ・Xの行く末を案じる
ラッパーのポスト・マローンとコラボした新曲「グッバイズ(Goodbyes)」が絶賛発売中のヤング・サグ(Young Thug)が、6月のプライド月間の最終日に同性愛者であることをカミングアウトしたラッパーのリル・ナズ・X(Lil Nas X) について「公表すべきじゃなかった」と、ポッドキャスト番組『No Jumper(ノー・ジャンパー)』でコメントした。
インタビュアーのアダム22(左)とヤング・サグ(右)。動画の15分あたりからリル・ナズ・Xについて語っている。
セレブを含む多くのファンがリル・ナズ・Xへの支持を表明するなか、それとは真逆の意見を口にしたヤング・サグだが、今回の発言は決してホモフォビア(同性愛嫌悪)からきたものではないそうで、その意図について番組内でこう説明している。
「俺は世界中に打ち明けるべきではなかったと思ってる。公の場でカミングアウトすべきじゃなかった。今時、他人のことを好き勝手に批判するクズみたいな奴らばっかりだ。ただわけもなく非難する。どんな音楽を作ってるかなんて関係ない。ゲイだとわかった途端、新しい曲を出しても『ゲイの黒人が作った曲』と言われるようになる。みんな(主に黒人)曲を聞いてもくれない。みんなっていうか、“特定の人たち(同性愛者を毛嫌いする人たち)”のことな。俺が言いたいことわかるだろ?
(世間からの批判を背負うには)彼は若すぎると思ったんだ。炎上騒ぎに押しつぶされる可能性だってある。同性愛者だとカミングアウトしたことはなんの問題もないし、タイミングも最高だったと思う。プライド月間中だったしね。公表するには最適な機会だった。あれは良いアクションだったよ。でも、彼はまだ若い。口には出さないけど自分の中で色々と抱えてるはずさ。俺も批判に晒された経験があるから、彼が今置かれた状況がわかるんだ。だから、(カミングアウトしたのを知った時)『なんてこった。言うべきじゃなかった。世間に公表すべきじゃなかった』って思った」
近年、LGBTQ+コミュニティーへの理解を求める動きが活発化している影響もあり、状況は変わりつつあるものの、黒人社会ではいまだにLGBTQ+の人たちへの差別が根強く残っており、ヒップホップ界はショービズ界のなかでもLGBTQ+に厳しい世界だと言われている。
そのため、今回のヤング・サグの「カミングアウトすべきじゃなかった」という発言は、てっきり同性愛者に対する嫌悪感からきたものかと思われたが、真相は将来有望な後輩の行く末を案じての言葉だったよう。
最後に、リル・ナズ・Xのラッパー人生に大きな影響を与えた“憧れの人”でもあるヤング・サグは、「俺はリル・ナズ・Xを支持する。(中略)彼には1兆円ぐらい稼いでほしい。俺より稼いでほしいと思ってる」とエールを送った。(フロントロウ編集部)