スタントマンへの案内不足か
映画『デッドプール2』の撮影時に起きたスタントマンの死亡事故の調査結果が発表された。
事故が起きたのは2017年8月14日の朝。亡くなったのは『デッドプール2』で女優のザジ・ビーツが演じるドミノ役のスタントを務めていたジョイ・SJ・ハリス。アフリカ系アメリカ人女性として初のプロロードレーサーとなった人で、ロードレースの経験は多かったものの、映画のスタントパフォーマーを務めたのはこれが初めてだったという。
この件について調査を行っていたカナダの安全調査会社ワークセーフBCは、『デッドプール2』のセットには安全性において致命的な過失があったというレポートを提出した。
ワークセーフBCは、21世紀フォックスの『デッドプール2』制作スタジオが、スタントのリスクマネジメントが不十分だった、ヘルメットの装着を徹底していなかった、といった過失をあげた長文のリストを提出。
レポートでは、映画のスタント初挑戦だった彼女に対し、ヘルメットが持つ安全性などを含む仕事の案内が十分に行われなかったという。さらに、当時彼女の事故を見ていた他のスタントマンいわく、リハーサル中には、ブレーキ操作が適切に行なえずバイクが滑ってしまう危険な姿が見られたとのこと。
21世紀フォックスは今回のレポート提出を受け、「一部を否定します」と声明で反論。また、彼女の死後、スタジオの安全対策を強化したと主張した。
『デッドプール2』は、俳優ライアン・レイノルズが、マーベルの異色ヒーロー、デッドプールを演じ、予想外のヒットを記録した映画『デッドプール』の続編。事件が起きた直後、ライアンはツイッターで「ショックに打ちのめされています。しかし、彼女の愛する人や家族が今この瞬間経験している深い悲しみや説明のしようがない痛みは、比べものにならない」と故人を追悼。米The Hollywood Reporterの報道では、21世紀フォックスと遺族側の示談は成立しているという。(フロントロウ編集部)