追記:(2019年11月14日)
エミネムの広報を担当するデニス・デンニーが、リーク曲した音源について米XXLに声明を発表。
「今回のリークは10年も前のものだ」とし、「エミネムが収録した後、あの音源はボツになり、彼が新しい歌詞に書き換えた。エミネムとリアーナが良好な関係を築いているのは明確である」と、リークした音源について説明した。
エミネムの「物騒な曲」がリーク
多くのアーティストから尊敬されるラッパーのエミネムの未公開音源がリークし、そこに2009年に起きたリアーナとクリス・ブラウンのDV事件に触れた物騒な歌詞が含まれているとして問題になっている。
ことの発端は、あるRedditユーザーが「(SNIPPET) Eminem - Things Get Worse (Rihanna Diss)/訳:(スニペット)エミネム ―シングス・ゲット・ワース(リアーナのディス)」というタイトルの7秒間の音源を投稿したことから。
エミネムがB.o.B.とコラボした2011年の楽曲「シングス・ゲット・ワ―ス(Things Get Worse)」の未完成版と思われるこの音源には、エミネムらしき声で「もちろん俺はクリス・ブラウンの味方だ。俺だってあのビッチをぶん殴るだろう」とラップする声が聞こえる。
ファンの方ならご存知の通り、クリス・ブラウンは2009年のグラミー賞授賞式の前夜に当時の恋人リアーナの顔が腫れあがるほどの暴行を加えて逮捕・起訴された。
人気絶頂だったカップルによるDV事件は、瞬く間に世間を震撼させ音楽界の歴史に残る大ニュースとなった。
そんな事件では、もちろん被害者のリアーナをサポートする声が殺到したが、今回リークしたエミネムの楽曲には、あたかもエミネムがDV加害者であるクリスを擁護するように聞こえる歌詞が含まれており、これが大きな物議を醸している。
また、歌詞サイトのGeniusによると、リークした音源の完成版である「シングス・ゲット・ワ―ス」は正式には2011年にリリースされた楽曲だけれど、もともとはエミネムが2009年のアルバム『リラプス(Relapse)』のために書き下ろした楽曲だと言われている。アルバム『リラブス』は、あのDV事件でクリスが起訴された数ヵ月後にリリースされたエミネム通算6枚目のアルバムである。
ディスったのはリアーナだけじゃない
2010年の「ラブ・ザ・ウェイ・ユー・ライ」と2013年の「ザ・モンスター」でリアーナとコラボしたことがあるエミネムが、クリスの味方だと主張する衝撃の内容が明らかになったが、じつは「シングス・ゲット・ワ―ス」は当時から物議を醸していた問題曲。
この楽曲には、アンジェリーナ・ジョリーやジェシカ・シンプソン、ダコタ・ファニングといった人気セレブを痛烈にディスる内容が綴られ、なかにはエミネムが自分の母親を殺害したような内容の歌詞も含まれている。
ただ、エミネムが実名を使ってこうした攻撃的な歌詞を歌うのは彼のスタイルであるとReddit上でファンが指摘しているように、こうした歌詞はどれも“エミネムが加害者”であることが前提の“架空”のストーリーであり、今回リークした歌詞との大きな違いは、実際の事件をネタにしていないこと。
もしこの音源が本物であったとしても、「シングス・ゲット・ワ―ス」の完成形にはリアーナやクリスの歌詞はない。つまり、エミネム自身もこれが“笑えないジョーク”であることを理解して、自らリリックから取り除いたということになる。(フロントロウ編集部)