人気動画アプリTikTokから、ある女性のメイク動画が削除され、TikTok側が後に謝罪。その背景とは?(フロントロウ編集部)

削除されたのは、メイク動画ではなく…

 米ニュージャージー出身のフェロザ・アジズという少女が23日、人気動画アプリTikTokに投稿した動画が話題になっている。

画像: 削除されたのは、メイク動画ではなく…

 17歳のフェロザが投稿したのは、メイク動画。動画の中で「まず、最初はビューラーを使って、まつ毛をカールさせるのよ。いい?」と話すフェロザ。ただメイクについて教えてくれるチュートリアル動画かと思いきや、次にこう話しだした。

「そうしたらビューラーは置いて、今度はスマホで、中国で今何が起きているのか、罪の無いウイグルにいるムスリムの人たちが、どのように強制収容所に入れられているか、家族を引き裂かれ、誘拐や殺害、レイプの被害に遭い、無理やり豚肉を食べさせられたり、お酒を飲まされたり、改宗を迫っているのかを検索してみて。これも一種のホロコースト(※)なのよ。まだ誰も話していないけどね」
※1941年から1945年にかけて、ナチス・ドイツが組織的に行なったユダヤ人の大量虐殺のこと。

 フェロザは検閲の目をくぐるためにメイク動画を装い、「中国がムスリムを強制収容所に入れている」と警鐘を鳴らしていたのだ。この投稿から数日後、TikTokの運営側により動画は削除され、フェロザのアカウントは凍結された。

何が起きている?

 フェロザが動画で「ホロコースト」と批判した問題とは、中国政府が中国北西部にある新疆ウイグル自治区などに設立した「再教育キャンプ」のこと。現在、約100万人以上のウイグル人のムスリム教徒らが収容所に収容され、性的暴行や拷問される様子、中国共産主義の教えを強制される様子が目撃され、大きな問題に発展。

画像: 何が起きている?

 現在この収容所は、アメリカおよびその他の多くの国から厳しい批判を受けている。

なぜ消された?情報操作が深刻化

 ご存じの方も多いと思うけれど、TikTokを展開するのは中国企業。そのため、今回の動画削除とアカウント凍結は、中国に不利な情報を流されることを嫌がった中国企業による情報統制だと見る人が多い。

画像: なぜ消された?情報操作が深刻化

 今回の件のほかにも、他国における中国の影響による情報の扱われ方が最近たびたび話題になっている。

 例えば、アメリカの人気掲示板サイトredditでは、2019年に中国企業テンセントからの150億円以上にのぼる投資が入ってから、香港のデモをはじめ、中国に不利な投稿が消されたというユーザーの声が急増した。

 さらに、ハリウッドでも中国を意識した“編集”が問題視されている。2020年に公開される、映画『トップガン』の続編『トップガン マーヴェリック』の予告編では、トム・クルーズ演じる主人公マーヴェリックが着るジャケットから日本と台湾の旗が消され、中国に対する忖度をしたとして炎上した。

その後TikTok側が謝罪

 今回のメイク動画について、事態が大きくなったことを受け、TikTokがフェロザの動画削除とアカウントの凍結がミスであったと謝罪し、これらを復元。TikTok側は、フェロザのアカウント凍結と強制収容所の動画は無関係だと話しているが、フェロザ本人は「私がそんなことを信じるわけない」と、ツイートを投稿している。

画像: その後TikTok側が謝罪

 フェロザの読みが正しい場合、TikTok側は、見られたくない情報に蓋をしようとして、逆に世界中にそれを拡散させる手伝いを図らずもしてしまったことになる。

 そんなフェロザは米Rolling Stone誌に、今回の件について「みんなが関心を持つことといえば、ファッションの流行や、誰が誰と付き合っているかとか、注目の新人YouTuberは誰か、ってことばかり。多くの人がカールしたまつ毛を欲しがるでしょう?だから、そのワザを教えるふりをして、何が本当に重要なのか、何を考えるべきか、彼らに提示しようと思いました」とコメントしている。(フロントロウ編集部)

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