ザック・エフロンが実在の殺人鬼テッド・バンディを熱演した話題作『テッド・バンディ』がついに12月20日に日本公開。その裏話をジョー・バリンジャー監督がフロントロウ編集部に明かしてくれた。(フロントロウ編集部)

映画『テッド・バンディ』

 IQ160の頭脳とチャーミングなルックスで、30人以上の若い女性を残酷すぎる方法で殺害した連続殺人鬼のテッド・バンディ。「シリアルキラー(=連続殺人鬼)」の語源になった人物とも言われるテッドを、ディズニー・チャンネル出身のザック・エフロンが体当たりで演じた映画『テッド・バンディ』が、2019年12月20日(金)についに日本で劇場公開される。

 1970年代のアメリカで起きた実在の事件を基にした映画『テッド・バンディ』は、女性を誘拐して暴行・レイプしたのち殺害し、屍姦までするといった前代未聞の残忍行為をくり返すも、“殺人犯らしくない”ルックスからファンレターが届くほどのカリスマ性を持ち合わせたテッドを、一番近くで見ていた恋人リズ(演:リリー・コリンズ)の視点から描かれる。

 そんな映画でメガホンを取ったジョー・バリンジャー監督に、フロントロウがインタビュー。映画の裏話を明かしてくれた。  

画像: 映画『テッド・バンディ』

今を生きる若者にこそ見てほしい

 1970年代に起きたテッドによる殺人事件は、当時世界を震撼させたが、テッドは1989年に死刑執行されているため、今の10代、20代はテッドの存在を知らない人が多い。そんな若者への注意喚起のためにも、バリンジャー監督は本作を制作することを決めたという。

画像1: VOLTAGE PICTURES / Album/Newscom

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「テッドの恋人の視点に焦点を当てている脚本がすごくよかった。連続殺人犯が連続殺人を犯したことを描く映画はたくさんあるけど、犯人に騙されている人の心情や、とくにバンディが長い間、人々を騙してきたことを描く映画はあまりない。そういった観点で連続殺人犯を描けるのは興味深いと思った。
 そして実際に映画を作ろうと思ったきっかけは、当時20歳と24歳の娘との電話。教養のある彼女たちがテッド・バンディのことを知らなかったことだ。この世代のほとんどの人が、バンディがどんな人か知らなかった。
 僕は、アメリカに住む若い世代はバンディの犯した事件から重要なことを学ぶことができると思っている。見た目が魅力的だからといってその人を信用していいわけではない。これは娘たちに知っておいてほしい重要な教訓だ」

ザック・エフロンが適役だった

 テッドの恐ろしさを知らない世代に伝えたい映画でもある『テッド・バンディ』。だからこそ、主演のザックは、テッドを演じるのに“完璧な俳優”だったとバリンジャー監督は話す。

画像2: VOLTAGE PICTURES / Album/Newscom

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「ザック・エフロンがこの役に最も適している俳優だと最初から確信していた。彼は僕が一番最初に選んだ俳優だった。
 この映画は、“こういう見た目/こういう行動”をするという理由だけで、人を信じていいのか問う作品だから、若い男女、とくに女性から絶大な人気を持つザックは、現実世界ではもちろん無害な人だけれど、彼の人となりだけで観客は彼を信用するだろう。そのダイナミックさを、ザックという仮面を通して伝えたかった。見た目だけで人を信用してはいけないということをね」

「ザック・エフロンに勝る、この役を演じるにふさわしい人はいない。彼はその世代にとっての王子様だからね。観客には、バンディの知識が少ないまま映画を見て、カッコイイ人が人を騙すことがあるってことを理解して欲しかった。
 とくに今の時代は、インターネット詐欺が多発する時代。アメリカではUberを装ったドライバーが女性を狙う事件があったように、昔に比べて人は他人を装うことが多い。そんな時代において、バンディのことを知っておくのは重要だと思う」

「この映画は、テッド・バンディを知らない若い世代の人が、リズが経験した騙しや強迫観念を経験できる。そしてそれを身をもって感じさせてくれる役者が必要だった。殺人鬼だとしても彼のことを信用したくなる役者。娘の世代はみんなザック・エフロンにゾッコンだから、彼を見て連続殺人犯のはずがない、そう思いたくない、と思わせることが出来る。最後のシーンで、観客にリズが抱いた感情を感じて欲しかった」

殺人鬼のリアルを追求

 監督の言葉通り、ディズニー・チャンネル出身で“白馬に乗った王子様”的なイメージが強いザックを起用したことについては、一部では映画を見たファンが「犯罪者役でもかっこいい」といった反応を見せて物議を醸したほか、犯行シーンが少なかったことから「テッド・バンディを美化している」と批判の声が寄せられた。この批判にバリンジャー監督はこう反論する。

画像: 殺人鬼のリアルを追求

「僕はシリアルキラーが人を殺す映画には興味がなかった。もう何度も見たからね。この映画は暴力シーンが少なくて批判された。犯行シーンを見せないことでテッド・バンディを魅力的に描いたと言われたけど、僕にとっては真逆で、実在する連続殺人犯のリアルを描いたんだ。平然と二重生活を送って、笑顔を振りまく殺人犯を僕は描きたかった」

「(テッド・バンディをイケメンに描いたことへの)批判は、僕から言わせてみれば、とんでもないお節介だった。映画は、被害者の経験を描いているんだから、僕は逆に暴力シーンが多いほうが被害者に失礼だと思う。暴力シーンは被害者の人生が奪われた最悪の瞬間を見せるわけだから、それは被害者に敬意を示していない。僕は、イケメンで魅力的な人に、いかに人々が騙されるのかということを描きたかった。
 僕たちは、連続殺人鬼は特定の動きや見た目で遠くにいてもすぐわかると思い込みがちだが、実際はその逆だと思う。世の中にいる悪魔は、予想だにしていない人の場合が多い。そして信頼できる人である時も多い。たとえば神父による児童性暴行なんかは、信頼を裏切る最悪の行為だ。テッド・バンディのように殺人なんてしないと思われる人もそう。

映画制作と同時にテッドのドキュメンタリーも監督

 ドキュメンタリーを得意とするバリンジャー監督は、偶然にも『テッド・バンディ』の監督に決まる前から、テッド・バンディのドキュメンタリー番組の制作に取り組んでいた。その番組は、Netflixで現在配信中の『殺人鬼との対話:テッド・バンディの場合』というシリーズで、この番組では4エピソードにわたり、テッド・バンディの生い立ちから犯行の詳細、死刑執行までを追う。

 映画では、恋人リズの視点で描かれ、ドキュメンタリーでは、テッドの頭の中を覗くような展開で真実が暴かれる。同じトピックの作品を映画とドキュメンタリーで制作したバリンジャー監督は、作品ごとの違いをこう語る。

「2つの作品を同時に制作したことで、お互いに深みを与えることができた。ドキュメンタリーは、彼の存在から殺人方法、誰を殺したのかまで、すべての観点において深掘りしているから、映画では、おそらくなんらかの方法で愛したであろうリズと築いた“普通の関係“だけにスポットライトを当てたかった。
 “シリアルキラーは人を愛せない”と言われるけど、僕は、人間なんだからどんな感情も抱くことができると思っている。人は割り切ることができるから、酷いこともできるけど良いこともできる。人間はみんなそうだと思う。

画像: 映画制作と同時にテッドのドキュメンタリーも監督

 ザックが凶悪犯を演じる映画『テッド・バンディ』は、12月20日(金)より全国公開。

『テッド・バンディ』
監督:ジョー・バリンジャー
原作:エリザベス・クレプファー『The Phantom Prince: My Life With TedBundy』
脚本:マイケル・ワーウィー
出演:ザック・エフロン、リリー・コリンズ、カヤ・スコデラーリオ、ジョン・マルコヴィッチ他
原題:Extremely Wicked, Shockingly Evil and Vile
提供:ファントム・フィルム ポニーキャニオン
配給:ファントム・フィルム R15+

(フロントロウ編集部)

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