差別に声を上げたことで解雇されたガブリエル
アメリカの大人気オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』で審査員を務めていたガブリエル・ユニオンが、黒人差別や女性差別に対して声を上げた結果、1シーズン限りで出演が取りやめられたと見られる件で、制作・放送を担当する米キー局のNBCに大きな批判が集まっている。
女性差別に声をあげる「Time’s Up」は、NBCは権力を持つ男性のために従業員を切り捨てているとし、すべての人のために労働環境を改善すべきだと批判。また、過去に『アメリカズ・ゴット・タレント』の審査員を務めていた大御所ハワード・スターンは、番組の名物司会者であるサイモン・コーウェルを名指しで批判し、『アメリカズ・ゴット・タレント』を「男だけの社交クラブ」と揶揄した。
ガブリエル本人は、騒動の後にサポートしてくれたファンや家族・友人に感謝のメッセージを送ったものの、直接的なコメントは残していなかった。そんななか、ニューヨークで開催された女性のためのエンパワーメントイベントに登場したガブリエルが、ついに今の思いを口にした。
ガブリエル、差別される立場の人へ呼びかけ
自分も差別される立場だった黒人であり女性であるガブリエルがメッセージを送ったのは、差別を行なった人ではなく、ガブリエルと差別される立場にいる人々。そこには、現状を変えたいと願うガブリエルの思いがあった。
「怖いからって、現状維持のために努力するようなお気楽な黒人にならないで。他の人がやったら情熱的だと言われるのに、あなたがやった時は怒りだなんて言わせないで。それは恐るべきこと。仕事を失う可能性も高い…。私は自分の経験から話しているんだけどね。企業はお金を求めているから、並々ならない努力が必要。扉を開けて、人々に責任をとらせましょう。そうです、私は不可能なことをあなたに頼んでいる…。職を失う可能性が目の前にあることは十分に分かっています…。でももしあなたがそれをやらなければ、誰もやらない」
差別に立ち向かう時、残念ながら差別を受けている側にリスクが伴うことは事実。しかし社会を良くしていくには、行動しなければ始まらない。『アメリカズ・ゴット・タレント』の審査員という仕事を失くしてまで差別に抵抗したガブリエルは、現在この問題に対して弁護士の助言を求めている。(フロントロウ編集部)