豪華キャストが織りなす家族の絆
これまでにも何度も映像化されてきた19世紀を代表する女性作家、ルイーザ・メイ・オルコットの自伝的小説『若草物語』に映画『レディ・バード』(2017年公開)で第90回アカデミー賞の監督賞にノミネートされた女性監督のグレタ・ガーウィグが新たな視点から息を吹き込んだ映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(以下『わたしの若草物語』)。
南北戦争時代のアメリカを強く生きたマーチ家の4姉妹と、彼女たちを取り巻く人々の心温まる絆を描いた同作では、主人公で次女のジョーを『レディ・バード』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、本作で再びガーヴィグ監督とタッグを組んだシアーシャ・ローナン、長女メグを『ハリーポッター』シリーズやディズニー実写版映画『美女と野獣』で知られるエマ・ワトソン、三女エリザベスをHBOの人気ドラマ『シャープ・オブジェクツ』のエリザ・スカンレン、四女のエイミーをマーベル作品『ブラック・ウィドウ』への出演でも注目を集めるフローレンス・ピューが熱演。
さらに、マーチ家の裕福な隣人ローレンス家の1人息子で姉妹たちと友情を育むローリーことセオドア・ローレンス役には『君の名前で僕を呼んで』で第90回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされ、『レディ・バード』にも出演した俳優のティモシー・シャラメが、姉妹たちが慕うマーチおばさん役には、言わずと知れた名俳優のメリル・ストリープがキャスティングされている。
プロモーションツアーに不参加
美しい映像や心を打つストーリーにくわえ、豪華キャストが創り出す、本物の家族さながらの和気あいあいとした雰囲気も絶賛されている同作だが、ある不可解な事実を理由に、キャストたちの間で不仲説が急浮上している。
それは、12月25日、クリスマス当日の全米公開に向けた同作のプロモーション活動にメグ役のエマが一切参加していないということ。
米現地時間の12月7日にニューヨーク近代美術館で開催されたワールドプレミアには、ほかのキャストたちとともに顔を出し、レッドカーペットでも仲睦まじい様子を見せていたエマ。
しかし、それ以降に行なわれたフランス・パリでのプレミアや、彼女にとっては母国であるイギリス・ロンドンで開催されたフォトコールには登場せず、シアーシャ、エリザ、フローレンスと姉妹役の俳優たちが勢ぞろいした各国のテレビやラジオ番組にも、エマの姿は無かった。
4姉妹の絆が見物の作品とあり、世間ではもちろん、プロモーション中には、4姉妹を演じた役者たちが和気あいあいと楽しそうにする様子が見たいという声が多いのだが、米Paige Sixが報じた映画関係者の発言によると、エマは自身の広報を通じて、『私の若草物語』の配給元であるソニー・ピクチャーズにプレスツアーには参加せず、「ワールドプレミアにしか出席しない」と申し出たのだそう。
この関係者は、「何があったのかは分かりません。彼女が映画対して何らかの不満を抱えているのか、それともキャストと仲違いしてしまったのか…」と、その理由については首を傾げている。
「別の方法」でプロモーションに貢献
別の関係者によると、エマは、作品に不満を持っているということはなく、むしろ満足しているそう。
その証拠につい先日公開された米Hollywood Insiderとのインタビューでは、同作で描かれる女性像や家族の温かさを絶賛し、「愛にあふれた作品」、「『若草物語』という聖なる名作の実写化に携われるなんて本当に素晴らしいこと」と熱っぽく語っていた。
エマは、確かに、ほかのキャストたちと一緒の宣伝活動には参加していないが、フォロワーが5千万人を超えるインスタグラムを通じて、主演ではないながら、キャストの誰よりも頻繁に作品について告知。
さらに、原作となった『若草物語』の書籍を世界各地の公共の場に隠すといった独自の方法で、より多くの人々に『わたしの若草物語』を観てもらおうと尽力している。
作品には大きな誇りを持っているとなると、やはり、気になるのはキャストたちとの関係だが…。それとも、ほかに何か別の理由があるのだろうか? 現時点では、エマの広報は、この件に関する問い合わせへの回答を拒否しており、ソニー・ピクチャーズ側も口をつぐんでいる。
映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』は日本では2020年の3月(日付未定)に公開が予定されている。
日本公開までは、まだしばらく時間があるが、その前には、同作でシアーシャがドラマ部門の主演女優賞にノミネートされたほか、作曲賞にもノミネートを果たした第77回ゴールデン・グローブ賞を皮切りに、ノミネートが期待されるアカデミー賞などの数々のアワードが開催される。エマが今後キャストたちとともに公の場に登場することはあるのか、注目が集まっている。(フロントロウ編集部)