異例の「アップデート」
欧米諸国ではクリスマスに先駆けた12月20日に一斉に公開がスタートした映画『キャッツ』。
名作曲家アンドリュー・ロイド・ウェバーの名作ミュージカル『キャッツ』を最新の特殊映像技術を駆使して実写化された同作は、予告編が公開されるや否や、個性豊かな豪華キャストの共演やCGI技術を使って再現された本物の猫さながらのふわふわの猫の毛並みなどが関心を集める一方で、キャラクターたちの独特の容貌が「2足歩行の人面猫」、「不気味すぎる」、「コワい…」との声も寄せられていた。
ビジュアル面への若干の不安とともに、封切りの日を迎えた『キャッツ』だが、劇場で実際に鑑賞した人々や有名エンタメメディアの批評家からも、やはりビジュアルのインパクトが強すぎて、内容よりもそちらが気になってしまうといった厳しい意見が相次いだ。初週末3日間の興行収入は650万ドル(約7.1億円)と、予想されていた1000~1500万ドルを大きく下回る数字となった。
同作のメガホンを取ったトム・フーパー監督は、キャストたちも参加した16日に行なわれたニューヨーク・プレミアで公開直前までVFX(視覚効果)に改善を加えていたことを明かし、さらに、まだ納得がいっていない様子で「微調整したい」と明かしていたというが、配給元である米ユニバーサル・ピクチャーズが、公開初日となった金曜日、全米の劇場に宛てて、日曜日までに、いくつかのVFXに改良を施したアップデート版のパッチデータを配信するとの“お達し”を送ったと米Deadlineが伝えている。
同社からのメモには、「できるだけ早く、最新版に差し替えて上映してほしい」との記載があり、米Indie Wireによると、改良を含めた最新版の映画は、衛星サーバーを通じて日曜日にダウンロードすることが可能に。デジタルデータをダウンロードするシステムを導入していない劇場に関しては、24日の火曜日までにハードディスクが届けられるという。
VFXが改良されたことにより、劇中の情景やキャラクターたちの“見た目”にどれくらいの変化が生じたかという情報はまだ入ってきていないが、映画公開直後に視覚効果にテコ入れが行なわれるのは極めて異例。日本では、年明け1月24日から公開となるが、日本で上映されるのは、改良版となる。
『キャッツ』には、本作で銀幕デビューを果たしたバレリーナのフランチェスカ・ヘイワードが主人公となる子猫ヴィクトリアを演じるほか、シンガーのジェニファー・ハドソン、テイラー・スウィフト、俳優のイドリス・エルバ、ジュディ・デンチ、イアン・マッケランといった実力派俳優のほか、レベル・ウィルソンやジェームズ・コーデンらコメディ俳優ら著名なダンサーなど、才能豊かなキャストが集結。
ミュージカル版でもお馴染みのアンドリューが手がけた美しい楽曲の数々にくわえ、彼がテイラーと共同で書き下ろした映画版オリジナル曲「ビューティフル・ゴースツ」が登場も登場し、同曲は、2020年1月に授賞式が行われる第77回ゴールデン・グローブ賞の主題歌賞にノミネートされている。(フロントロウ編集部)
※記事内の金額の表記に誤りがあったため修正しました。