英国アカデミー賞(British Academy Film Awards/BAFTA)で監督賞のプレゼンターを務めた、俳優のレベル・ウィルソンが本アワードで最も笑いを誘うスピーチをした。(フロントロウ編集部)

BAFTAの会場が揺れたスピーチ

 日本時間2月3日に英ロンドンにあるロイヤル・アルバート・ホールで開催された英国アカデミー賞で、監督賞のプレゼンターを務めたのは、映画『ピッチ・パーフェクト』や『ロマンティックじゃない?』といったコメディ映画に出演し、現在公開中のミュージカル映画『キャッツ』にも出演するコメディ俳優のレベル・ウィルソン

 映画『1917 命をかけた命令』のサム・メンデス、『アイリッシュマン』のマーティン・スコセッシ、『ジョーカー』のトッド・フィリップス、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のクエンティン・タランティーノ、『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノがノミネートされた監督部門の発表を前に、強烈なスピーチを披露した。

画像: BAFTAの会場が揺れたスピーチ

 ただ、レベルのスピーチを紹介する前に、いくつかおさらいしておきたいことがある。英国アカデミー賞が行なわれたイギリスでは、1月はじめには、同アワードに出席した英国王室のウィリアム王子の弟、ヘンリー王子と妻のメーガン妃が王室離脱を発表して世界中で話題になっている。さらに英国王室では、エリザベス女王の第3子にあたるアンドリュー王子が未成年を買春した性的スキャンダルで世間を大きく騒がせている。

 余談だが、レベル自身も激動の数ヵ月を過ごしており、大ヒットミュージカル映画『レ・ミゼラブル』のトム・フーパーによる新作ミュージカル映画『キャッツ』が、日本では大ヒットしているものの、欧米では稀に見る酷評を受けている。

 こうした背景があることを理解しつつ、レベルのスピーチをお読みいただきたい。

画像: BAFTAのトロフィー

BAFTAのトロフィー

規制ギリギリのスピーチ

「優秀なゲストの皆さんと、そうとは名乗らない方々、こんばんは。この場に立てて嬉しいです。(会場の)ロイヤル・“アンドリュー”…、ロイヤル・“ヘンリー”…いや、ロイヤル、ロイヤルの宮殿に立てて嬉しいです…。すみません、先ほどバックステージで今夜は誰もギフトバッグをもらえないと聞いて…はぁ。代わりに“ギフティング・ウォレット(※ギフトカードが入った財布。スラングでは来るものを拒まないことを意味する)”をもらえるみたいです。ちなみに、私のヴァギナのニックネームと同じなんです。もしかしたらアフターパーティで“最優秀得点賞”を取っちゃうのは私かもしれませんね。
 
司会者のグラハム・ノートンがおっしゃっていたように、今夜のアワードはサステイナビリティがテーマです。なので、今日は昔着た2つのドレスを縫い合わせてきました。赤い方はミス・オーストラリアに選ばれなかった時のもの。黒い方は最近行ったお葬式のものです、長編映画『キャッツ』っていうやつの。おかしなことに、『キャッツ』はどのアワードにもノミネートされませんでした。みなさんがこの議論を認識しているかは分かりませんが、ノミネーションに欠けていることがありますよね。猫ちゃんの。監督賞の“キャット”テゴリー(※カテゴリーとかけている)だって、猫ちゃん(※Feline=ネコ科とFemale=女性をかけている)がノミネートされていません!ショックです。
 
でも少なからず、このBAFTAのトロフィーを持てるならいいか。コロナウイルスから身を守るにはちょうどいいですね(※BAFTAのトロフィーは仮面の形をしている)。
 
サム・メンデス、マーティン・スコセッシ、トッド・フィリップス、クエンティン・タランティーノ、ポン・ジュノ、この部門にノミネートされた才能ある素敵な人たちを見て、私には彼らのしたことができないと思いました。正直言って、私には“ボールズ(※度胸という意味のほか睾丸という意味もある)”がありませんから」

 イギリス王室のゴタゴタに加え、自身の出演作に対する自虐、世界的に流行している新型コロナウイルスの蔓延、さらには2020年の映画アワードのノミネーションに女性や有色人種系が少なかったことを下ネタ満載で痛烈にイジったレベルのスピーチに、苦笑いする人もいたものの、ここまで大胆なジョークでスピーチしたレベルに会場全体が爆笑の渦に包まれた。

 ちなみに同部門は映画『1917 命をかけた命令』のサム・メンデスが獲得。同作は、作品賞を含む7冠を達成した

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