『ジョーカー』の笑い
現地時間2月9日に開催される第92回アカデミー賞に最多ノミネートされている映画『ジョーカー』。
怪演を見せた主演のホアキン・フェニックスは、すでにゴールデン・グローブ賞やBAFTA(英国アカデミー賞)、放送映画批評家協会賞など多くの主要映画祭で主演男優賞に輝いており、アカデミー賞でも受賞に期待がかかっている。
そんなホアキンが演じたアーサー・フレックは、脳に障害があるため、笑いたくない時でも突然笑いを止められなくなってしまう情動調節障害(Pseudobulbar Affect:PBA)を持っている。そんなアーサーの“笑い”について、トッド・フィリップス監督は英Empireにこう語る。
「(映画の中には)彼がうずくまり痛みを感じた際の苦悩から発生する笑いがあり、アーサーが人々の中に溶け込みたい時にする笑いもある。それらは強制されたウソの笑いだね」
アーサーが本当に笑った時
ジョーカーであるアーサーというキャラクターを描くうえで不可欠と思えるあの笑いを、「ウソの笑い」と表現したフィリップス監督。しかしそんなアーサーが、たった1度だけ、本当に笑った瞬間があるという。
「映画の中でアーサー/ジョーカーが本当に笑った、たった1回の時は、最後の最後のシーンだよ」
『ジョーカー』のエンディングといえば、病院に収監されたアーサーが映し出されたシーン。映画を見たほぼすべての人の間で、ある議論を巻き起こしたシーンだけれど、そこでのアーサーの笑いは本物だったという。
監督のこの発言を聞いた後にあのシーンを見ると、その受け取り方も変わってきそうだ。(フロントロウ編集部)