自分の出生の秘密
イギリスに住むある女性は、1970年代に生後7ヵ月で養子に迎えられた。
18歳になった時に、自分を産んだ母親を探したという女性。ソーシャル・ワーカーの助けを借り、情報を集めた結果、自分はレイプによって誕生した子供だと理解したという。
「怒りを感じ、私の生みの親を、そして私自身を思って精神的に非常に落ち込みました」
英BBCにそう語る女性は、その後、13歳しか年の違わない産みの母と再会。産みの母は、レイプの件で警察に行くことを拒んだそう。
レイプの直接的な被害者ではない?女性が取った方法
女性が母と再会してから何年も過ぎた頃、2011年に死去したイギリスの有名司会者ジミー・サヴィルが、生前に少なくとも70人以上の少年少女に性暴力を加え、その他にもボランティア先の病院で年齢を問わず100人以上に性暴力をふるい、死体性愛も行なっていたことが発覚する。
ジミーの件をきっかけに古い性的被害のケースがニュースで取りざたされるようになったことに触発された女性は、自身の生物学的な父親で、13歳だった産みの母をレイプした当時30代の男を起訴する手立てを整えた。しかし当初、警察側は、女性は直接的な被害者ではないとして、事件化しないと言われたという。
「私の母のために、そして私自身のために正義が欲しかった」
心に燃える感情をそう語る女性は、数年にわたる警察への掛け合いののちに、「victimlessprosecution(被害者なき起訴)」という方法で、この件を事件化することを達成した。
「victimless prosecution」は、起訴を続けることが公益になるが、被害者が捜査に協力したくない場合に取られる方法で、被害者をさらなる被害から守ることを目的とする。
女性は、自身の出生証明書や過去のソーシャルサービスの書類という証拠に加えて、警察はDNA鑑定もできるだろうと語り、DNA鑑定によって自分と男の血のつながりが証明されれば、それこそ未成年だった母が男にレイプされた証拠になると主張している。
警察が英The Independentに明かしたところによると、男は逮捕されたのち、保釈金の支払いによって保釈された。しかし、警察はこの件で英国検察庁に協力を求めており、さらなる調査が進むこととなる。(フロントロウ編集部)
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