元祖お騒がせセレブが抱える「心の闇」
2000年代に放送されたリアリティ番組『シンプル・ライフ』でブレイクし、リアリティスターの草分け的存在、今で言う「インフルエンサー」の先駆者として注目を浴びたパリス・ヒルトン。
ヒルトン・ホテルの創設者コンラッド・ヒルトンの曽孫娘として誕生した生粋のお嬢様である彼女は、常識の枠を逸脱したユニークでぶっ飛んだ発言や小悪魔的ながら愛すべきキャラクターで、男女問わず幅広い人気を誇り、当時、彼女に関するゴシップを目にしない日はなかった。
そんなパリスは、2月で39歳に。20代の頃からセルフブランディング能力に長けていた彼女は、現在も香水やアパレル、ハンドバッグや靴など、自身の名前を冠したブランドを手広く展開しているほか、今から約8年ほど前にはDJという新たな天職に出会い、世界中のクラブを巡り、夜な夜な観客たちを熱狂させている。
“元祖お騒がせセレブ”として注目を浴びた全盛期の自分について、最近では、「役柄を演じていただけ。人々が私のことを“金髪でちょっと頭の軽い女の子”と思っていることには、たまにウンザリすることもある」と米Deadlineに語るなど、じつは、視聴者が望むキャラを演じていただけだと手の内を明かしているパリス。
世間からの過度な注目によるプレッシャーにくわえ、波乱万丈な恋愛遍歴でも知られる彼女は、元恋人たちとのトラブルや20歳という若さで経験したセックス動画の流出なども原因となり、もうずいぶん前からメンタルヘルスの問題に悩まされていることを明かしている。
専門家の力を借りられない理由
18歳の時に交際していたボーイフレンドが撮影したセックス動画がその2年後の2003年に流出し、さらにその後、自身の承諾なしにDVDとして発売されるという事件に見舞われたパリス。
もしも今起きたら、「#MeToo」を掲げた猛抗議の対象になりそうな騒動だが、当時、矢面に立たされたのは、被害者であるパリスだった。
その時の心境について、パリスは、「数カ月間家から出られなかった。すごく気分が滅入っていたし、恥ずかしかった。人の視線を浴びたくなかった」と、“うつ”に苦しめられていたことを2018年の米Marie Claireとインタビューで告白。
しかし、心の傷を抱えながらも、彼女は、今でも、思うように、心理セラピーやカウンセリングといった専門家の力を借りることができないという。
その理由について、パリスは、米Cosmopolitanと行なった最新のインタビューで言及。
「ちょっとだけセラピーを受けたこともあるけど、(治療に)十分な期間受け続けることはできなかった。だって、私は誰も信じることができないから」と、それまでの人生で染みついた“人間不信”が災いして、自分に救いの手を差し伸べようとする専門家たちですらも信じることができないと明かした。
スマホやSNSが普及し、プライベートな写真や動画がネット上に流出するリスクがますます高まった昨今の状況について、パリスは、自身の苦い経験を活かし、こうアドバイスしている。「100%安全なものなんて無いってこと。世間の人たちに見られたくないようなプライベートなものは、スマホやタブレットには保存しないほうがいい」。
シングルライフを謳歌中
2018年11月に4歳年下の俳優のクリス・ジルカと破局・婚約破棄して以来、特定の恋人はいないというパリス。
現在は、生まれて初めて1人でいることを楽しんでいるといい、「誰かにコントロールされなくてすむのって気分がいい。誰かとつき合っていると、その人を信頼できなくて悩んだり、自分がどこかへ行っている間にその人が私の名誉を傷つけるような事をするんじゃないかって心配しなくちゃいけないリスクがあるでしょ?今は、そんな不安を抱えなくていいということがラッキーだって感じる。だって、私は今、誰にも依存せず、自立しているから」とCosmopolitanに語っている。
自らの意思で孤独を選び、自分と向き合っているパリス。人間不信を克服するのが先か、それとも、そんな自分も受け入れて、バランスを取りながら生きていくと決めるのが先か。明確なのは、すっかり大人の女性へと成長した彼女は、確かに、あの頃、世間の人々が面白がっていた“金髪のちょっと頭の軽い女の子”のイメージには、もうずっと前にさよならを告げているということだ。(フロントロウ編集部)