「Wrong Direction」はどんな曲でしょうか?
その人の本来の姿ではない面に恋に落ちることについての曲で、現実とは認めたくないような状況になって、でもそれを受け入れなきゃいけない時もあるし、もう遅いんだって気づく時もあるっていう。すでにもう悪い方向に進んでしまっている時は、そこから戻るのは難しいものだから。
「I Love You’s」はどんな曲でしょうか?
「いやされて、完全に自分自身になるために、自分のための時間を持つことについて歌った曲で、一人になるって、とてもパワフルでポジティブなことになるっていう曲になっているわ」
新曲や新作のテーマは決まっていますか?
「(新作では)自分で作曲して、本当に自分に正直になる機会を持てていることが嬉しい。この方向性は私の人生を表してる。私はすごく自分を見失い、悲しみ、混乱してた。でも、誰もが経験することだと思うし、それについての曲を作って発表することによって、私は誰もがこうした経験をするもので、私たちはみんな鼓動する心を持った人間で、似たように感じるものなんだって気づいたの。そして曲を聞いた人たちが、そう感じているのは自分一人じゃないと共感してくれるって、スペシャルなことだと思うわ」
「I Love You’s」ではスタイル七変化を披露していますが、普段、どこからファッションのインスピレーションを受けているのでしょうか?
「レッドカーペットやステージ用には素晴らしいスタイリストたちと仕事をしているんだけど、インスピレーションになるのはランウェイで、過去数十年に渡るコレクションを参考にしている。あとは、新しいトレンドが流行ったらそれも取り入れてる。でも私にとってファッションで一番大事なのは、快適になることなの。そのルールにいつも従うわけじゃないけど。快適じゃない服も、見た目が良すぎるから着ることはあるわ(笑)。でも、自分であることと、快適であることはすごく重要なの。自分が特別に感じる、自分を表現していると感じる服を着れば、何を着てもいいと思うわ。私たちは、自分たちが着るものを完全にコントロールできる。ファッションは自分がどんな人間かを人々に知らせる、自己表現の方法だと思うの。だから、季節とか人生のイベント毎に、色々と変えてみるのは楽しいと思うわ。それにその日の気分をファッションで表現することもできるし、それって素敵なことよね」
「I Love You’s」のMVでは初めて監督を務めたそうですが、他に新たに挑戦していることやしたいことは何でしょうか?
「初めて家にホームスタジオを設置したの。前からやりたかったんだけど、その時間がなくて。それで、今一曲完成させているところで、次の曲を始めるの。だから、私がここで作った曲が次のプロジェクトに収録されるかどうかがすごく楽しみなの。一度もやったことがないから」
コロナウイルスで外出自粛が続いているなか、どのように過ごしていますか?
「私たちにとって、本当に困難な時になっているけれど、一つ良い面があるとすると、誰もがスローダウンして、自分のための時間、一緒にいることが許可された人たちとの時間を大切にできる機会を持てたことだと思うの。私はこの隔離中、家族と一緒に過ごせているから、本当にありがたい。こんなに長い時間、家族で一緒に過ごしたのはいつだったか思い出せないぐらいだから、すごく特別。もしかしたら、当たり前に思っていたことかもしれないわ。これが終わった時、人々が前よりも思いやりを持つようになっていることを願うわ。家の前庭に出て新鮮な空気を吸うこととか、当たり前だと思っていたもの。本当にクレイジーよ。だから、できる範囲でクリエイティヴでい続けて、ポジティブで、できる限りアクティヴでい続けるように、私はトライしているわ」
若手セレブ界を代表するアクティビストの一人として、最近ご自身が注目されていて、もっとスポットライトが当たるべきなのに十分注目されていないと感じる社会問題は何でしょう?
「社会問題とは違うけれど、ポジティブでいつづけることはとても大切だと思っているわ。今の私たちはソーシャルメディアの世界で生きていて、過去10年間、その影響には良い意味でも悪い意味でも大きな変化が起きている。そのなかで重要なのは、自分のためにやりたいことをやることだと私は思う。自分がやっていて幸せで、良い気分になれることをやること。そうすれば、誰が何を言っても、自分のためにやっているのだから。それは本当に大事なことよ」
AppleTV+の主演ドラマ「ディキンスン~若き女性詩人の憂鬱~」はジェンダーステレオタイプに疑問を投げかけていたり、LGBTQのリプリゼンテーションに貢献していたりと、メッセージ性が強い作品ですね?
「このドラマは、アリーナ・スミスが脚本を書いて、製作したの。このドラマの舞台である1800年代には、現在存在するジェンダーについての言語がまだ存在していなかったの。アリーナは当時起こっていたたくさんの問題について番組の中で挑んでいて、その問題の多くが、今でもまだ残っているわ。それがこの番組のクレイジーなところで、見ていて、いつの時代に起こっていることなのか必ずしも分からない。でも、このドラマの特別なところは、誰のことも枠に入れていないの。自分であることを愛していて、何の言い訳もせず、自分自身でいられる人。それが、エミリー・ディキンソンだった。彼女は恐れ知らずのライターで、一貫して自分の思想と真実を追求し続けた。それによって因果応報は起こるのだけれど、常に乗り越えるの」
前回の来日から1年が経過していますが、その間に日本を思い出す瞬間はありましたか?
「前回日本に行った時に、フジのポラロイドカメラとフィルムを買ったの。フィルムをいっぱい買ったからまだ残ってて(笑)。でも友人達に見せびらかしてるから、使い切りたくないのよね。『どこで買ったの? 私はオンラインで買ってるんだけど』とか聞かれるのよ」
(フロントロウ編集部/取材協力:Miho Suzuki)