ニュージーランド政府が制作した、ポルノ俳優がメインキャラクターの動画が絶賛されている。(フロントロウ編集部)

政府による動画のコンセプトは?

 新型コロナウイルスに関する対策や、政府の在り方などが高い評価を受けているニュージーランド政府が、あるCM動画を制作して話題となっている。1分間の映像で登場するのは…、全裸のポルノ俳優たち!

 じつはこれ、「Keep It Real Online」というニュージーランド政府によるキャンペーンの動画のひとつ。インターネットを使う子供たちに起こりうる様々な問題を取り上げ、その問題を解決するために保護者をサポートするというもの。この回では、多くの人々がインターネットで見られるポルノ動画でセックスについて学んでいることを取り上げ、ポルノと現実の恋愛関係は違うことを子供に教えるようアドバイスしている。

動画の中で話されることに多くの賛同

 動画は、少年がインターネットで見ていたポルノ動画に出演する女優スーと男優デレクが自宅を訪れ、少年の母親が玄関に出るという、少年にとっては最悪すぎる状況から始まる。しかし2人の話すことは、至極真っ当。

スー「(少年は)現実の恋愛関係がどういうものかを知らないかもしれないと思って。私たち、同意(を得ること)についてすら話さないよね?うん、すぐ本番に入ってしまうから」
デレク「そうだね。そして僕は、現実ではそんなことはしたことがないし」
スー「しないよね」

 そして2人の話を聞いた母親は、「オーケー、落ち着いて。何をするかは分かってる」と心の中で自分自身に語りかけ、息子に向かって、「インターネットで見るものと、現実の恋愛関係の違いについて話す時のようだね。批判する気はないよ!」と話す。

 政府によるキャンペーンが、ポルノでは現実的な恋愛関係が描かれていないことを指摘し、子供のうちにきちんと話すことが大切だと促す動画を、ポルノ俳優をメインキャラクターにおいて制作したことは大きな反響を呼び、その多くは動画にポジティブな反応だった。

ポルノの影響力は?

 ポルノが現実に与える影響、とくにデートレイプや性犯罪に関するものは、近年とくに注目を集めている。

 2019年9月には、イギリスに住む17歳の少年が、2年前に交際していた元恋人にセックスを強要していたことはレイプだったと、自分自身を警察に通報する出来事が発生。少年は、自分はポルノ動画に依存していたと語っている。

 日本では、警察庁科学警察研究所が1997年から98年にかけて、強姦や強制わいせつの容疑で逮捕された加害者に行なった調査で、33.5%が「AVを見て自分も同じことをしてみたかった」と回答。さらに少年にかぎれば、その割合は49%にまで上るとの結果が出た。

 エドワード・ドナーシュタインの実験によると、すべてのアダルト動画が問題なのではなく、女性への暴力を含むアダルト動画を見た男性が女性への攻撃性を顕著に高めたという。また、性犯罪が起きる要因には加害者の過去に深刻なトラウマを抱えている傾向があることもあり、一概にアダルト動画だけが問題であるとはいえないとも言われている。(フロントロウ編集部)

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