18歳でグラミー賞の主要4部門を総なめしたシンガーのビリー・アイリッシュが、話題の動画の“解釈”をめぐって不満に感じていることとは?(フロントロウ編集部)

ビリー・アイリッシュが話題の動画について語る

 “ティーンのカリスマ”として知られ、弱冠18歳にして、今年のグラミー賞で女性アーティストとして史上初めて主要4部門を制覇したビリー・アイリッシュが、自身のトレードマークでもあるダボッとしたシルエットの洋服を脱ぎ捨てて話題になった動画について、英GQのインタビューで語った。

 映像の中で、ビリーは着ていたスウェットパーカーを脱ぎ、ブラウスを脱ぎ、タンクトップを脱ぎ、そして黒いブラ1枚の姿に。そして、そのまま、ドス黒い水の中へとゆっくりと沈んでいく。

 以下、メッセージの全訳。

 「私のことを知っている?本当に?あなたには意見がある。私の考え、私の音楽、私の服、私の体に対して。ある人たちは私が着るものを嫌い、またある人たちは称賛する。私の服装を引き合いに出してほかの誰かを辱めようとする人たちもいれば、私を非難する人たちもいる。でも、私は、どんなときも、あなたたちの視線を感じている。私がすることはすべて監視されている。あなたたちが私を凝視したり、非難したり、安堵のため息をつくのを感じるけれど、もしも私がそういった評価にすがって生きたら、私はきっとまったく動くことができなくなるだろう。

 あなたたちは、私に、もっと痩せて欲しい? か弱く脆弱であって欲しい? 背を高くするべき? もっと口を慎んでほしい?私の肩はあなたを挑発する? 胸は? お腹は? お尻は? 私が生まれ持ったこの身体は、あなたが望んでいたものとは違う?

 自分が心地いいと感じるものを着れば、私は女性だとみなされない。逆に、肌を露出すれば、“あばずれ”だと言われる。あなたたちは私の身体を見たことがなかった。それでも私の身体を評価し、それによって私という人間について決めつけようとした。なんで?

 私たちはサイズを基準にして、誰かに関する憶測を立てる。その人が誰なのか、その人にはどんな価値があるのか。厚着をしたら、薄着をしたら、それが何だって言うの?それで私の何がわかる? どんな意味がある? あなたの認識でしか私の価値は決められないの? それともあなたの私にまつわる意見は私自身の責任ではない?」

 “本当の自分について知られたくない“という理由で、普段からオーバーサイズの服を好んで着ていることで知られるビリー。そんな彼女が素肌を露わにして伝えたのは、現代社会に根強く残るボディ・シェイミング(体形批判)に異論を唱えるパワフルなメッセージだったが、メディアはその内容よりも、ビリーが“脱いだ”ことに注目した。

 新型コロナウイルスの影響で中断されている「Where Do We Go? (ホエア・ドゥー・ウィー・ゴー?)」と題したワールドツアーで最初に公開された上の動画について、ビリーは「使命感に駆られてやった。まあ、次の日のDaily Mail(タブロイド紙)の見出しは『新ツアーでビリーが“ストリップ”してブラジャー姿になった』だったけど」と言うと、続けて「『あんたらアホなの?』って思った。なんの新鮮味もないし、しかも“ストリップ”じゃないし。ブラジャーが(完全に)見える前に映像が終わって、みんなに全部は見せないってことが、あの動画の最大のポイントなの。だって、あなたには私の体を見る権利がないから」と、“服を脱いで裸になる”という意味があるストリップという言葉をメディアがこぞって使用していたことに不満を感じていたことを明かし、人々がその言葉に釣られて記事を読むという考えはじつに安易だとして批判。

 さらに、「(裸が見たければ)Pornhubに行けばいくらでも見れる(笑)まあ、みんなが食いつく気持ちもわかるけど。だって、(自分の体は)相当イケてるし」と、自身の名前をうたったフェイクのエロ動画がネット上に蔓延してることをネタにしつつ、あの動画の主旨が理解できない人はアダルトサイトに行けばいいとバッサリ切り捨てた。

画像: ビリー・アイリッシュが話題の動画について語る

 ちなみに、今は自分の体や体形に自信が持てるようになったのかと聞かれたビリーは、「それはわかんない。『18歳になって、ようやく自分の体が好きになれた』ってことはない。まだまだ大きな問題を抱えてる」と返答。年齢を重ねたからといって、そう簡単に自分の体を好きになったり、自信を持ったりできるものではないと答えた。(フロントロウ編集部)

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