カニエ・ウェストの「YEEZY」と「GAP」がコラボへ
ラッパーとしての本業の傍ら、クリエイティブ・ディレクターとして自身監修のブランド「YEEZY(イージー)を成功させているカニエ・ウェストが、アメリカの最大の衣料品の小売店の1つであり、日本を含む世界の多くに店舗を展開するアパレルブランド「GAP(ギャップ)」とコラボ契約を結び、2021年以降にコレクションを発表することが分かった。
この報せについて、カニエは、自身のツイッターにGAPのお馴染みのロゴとYEEZYを意味する「YZY」が組み合わさった新ロゴを投稿して発表。
YEEZY AND GAP FORM PARTNERSHIP #WESTDAYEVER pic.twitter.com/NyxgfYTjJM
— ye (@kanyewest) June 26, 2020
「YEEZY GAP(イージー・ギャップ)」と名づけられた新ラインでは、カニエ率いるYEEZYのデザインチームがメンズ、ウィメンズ、キッズのアイテムを手掛け、GAPの手頃な価格帯で販売。デザインディレクターはナイジェリア出身のデザイナーであるモワローラ・オグンレシが務める。
The New York Timesの報道によると、両者の契約期間は10年となり、5年後に契約延長のオプションが含まれているという。
昔のバイト先とパートナー契約 カニエの軌跡
じつは10代の頃、地元シカゴにあるGAPで働いていたことがあるカニエ。バイト店員として低賃金で働いていた当時から、クリエイティブディレクターとして10年契約を結ぶとは、まさに、“アメリカンドリーム”を体現したようなサクセスストーリーだが、カニエが歩んだファッション界におけるここまでの道のりは、決して平坦ではなかった。
初ブランドの発足が立ち消えに
彼が一番最初にアパレルブランドのプロデュースに着手したのは、デビューアルバムの『College Dropout』が2005年のグラミー賞の年間最優秀アルバム部門にノミネートされ、最優秀ラップ・アルバム賞を獲得した翌年の2006年。
「グラミー賞も獲ったんだから、ファッションブランドを立ち上げてもいいだろう」と、かねてから夢だった「Pastelle(パステル)」と呼ばれるブランドを発足し、2009年春にコレクションの発表を予定していたが、最愛の母の死や、同年のMTVビデオ・ミュージック・アワードで起きたシンガーのテイラー・スウィフトの受賞スピーチ妨害事件で世間から大バッシングを受けたことなど、さまざまな要因が影響し、あえなく頓挫してしまった。
さまざまなブランドとのコラボやインターンシップを経験
その後、スポーツブランドのNIKE(ナイキ)やハイファッションブランドのLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)、日本初のブランドA Bathing Ape(Bape/ア・ベイジング・エイプ)、イタリアのシューズブランドGiuseppe Zanotti(ジュゼッペ・ザノッティ)とのコラボや、有名ブランド、Fendi(フェンディ)でのインターンシップなどを経て、2011年にウィメンズブランドのDW by
Kanye West(DW・バイ・カニエ・ウェスト)」を発表。
しかし、パリコレでお披露目された同ブランドの初コレクションの評価は芳しいものではなく、翌年には少し挽回したが、それ以降、新たなコレクションの発表はなかった。
コラボスニーカーが大成功 アパレルブランドが軌道に
カニエがファッション界で頭角を現す機転となったのは、2015年にスポーツブランド、Adidas (アディダス)とのコラボで第1弾をリリースしたスニーカーラインの“Yeezy Boost”。
新作を出すたび即完売・プレミアがつく同ラインのスニーカーは、オークションサイトでも超高値がつくほどの社会現象的な人気を博しており、米Business Insiderは、Yeezy Boostを「世界で最も影響力のあるスニーカーブランドの1つ」と称している。
Adidasとのコラボの大成功と並行し、自身のニックネームである「YEEZY」を冠したアパレルブランドをスタートさせ、軌道に乗せたカニエ。現在までにSeason1からSeason8と題した8つのコレクションを発表しており、ヌードカラーやアースカラーを基調としたミニマルで近未来的なデザインは、コアなファンから熱烈な支持を得ている。
妻キムが称賛のコメント
カニエのファッション界での旅はまだ完了したわけではないが、いちショップ店員からブランドとパートナー契約を結ぶまでの立場に上りつめたカニエの苦労を知る妻でリアリティスターのキム・カーダシアンは、YEEZY GAPの発足について、ツイッターを通じてこんなコメントを発表した。
「カニエを知る人は、みんな、GAPとYEEZYのコラボがカニエにとってどれだけ大きな意味を持つことか知っていると思う。このパートナーシップ契約は、彼にとってまさに夢の実現! 彼を心から誇りに思う。みんな、彼らが計画しているものをきっとすごく気に入るはず!GAP店員として働いていたところから、このパートナーシップに漕ぎつけたっていう事実には、すごく感銘を受けてる」
カニエが手がけるセレブにも人気の「YEEZY」のアイテムは、これまで日本では入手が困難だった。でも、日本にもショップを構える、リーズナブルな価格帯の品揃えで知られるGAPの店頭に並ぶなら、ぐっと手が伸ばしやすくなる。どんなラインとなるのか、本格始動に期待が高まる。(フロントロウ編集部)