オルテガ監督がライアンのセクシャリティに言及
ゲイであることを公言しているケニー・オルテガが、自身が監督を手がけたディズニー・チャンネルの人気シリーズ『ハイスクール・ミュージカル』に登場するライアン・エヴァンスのセクシャリティに言及した。
ライアン・エヴァンスはルーカス・グラビールが演じたキャラクターで、アシュレイ・ティスデイル演じるシャーペイ・エヴァンスの双子の弟としてシリーズに登場。メインキャラクターの1人として人気を博した。
今回、ケニーは米Varietyとのインタビューに応じて、“これまで手がけてきた作品では共通してクィアの美しさを描いてきたのか”という質問に回答。「『ハイスクール・ミュージカル』に出てくる、シャーペイの双子の弟のライアンについては、大学に行った時にカミングアウトするっていう設定にしたんだ」とケニーは語り、高校を舞台にした作品内ではライアンがゲイであることは明らかにしなかったものの、彼はゲイだと明かした。「カミングアウトよりも、彼のありのままの色を前面に出してみたんだ」
インタビュアーは続けて、3部作である『ハイスクール・ミュージカル』の1作目が公開された2006年の時代背景に言及。当時においてもライアンがゲイであることを公表できたと思うかと尋ねると、ケニーは「正直に言うと、当時は難しかったと思う。ディズニはこれまでに僕が仕事をしたなかで、最も革新的な人たちの集まりではあるんだけどね」とした上で、次のように続けた。
「僕が懸念していたのは、ファミリーや子供たち向けだったということでね」と、『ハイスクール・ミュージカル』がファミリー向けの映画であったことをあげ、「ディズニーにはまだその一線を超える準備ができていないんじゃないか、まだその領域に進む準備ができていないんじゃないかって思ったんだ」と、2020年の現在ほどLGBTQ+の人々に世間がそれほど寛容ではなかった時代に作品内でカミングアウトを扱うことのハードルの高さを振り返った。
「そういうわけで、観ている人たちならきっと分かってくれるはずだと思って、それに期待することにしたんだ」とケニー。「観て、感じて、理解して、(彼のアイデンティティに)結び付けてくれるんじゃないかってね。そして、実際にそうなったんだよ」と、ライアンがゲイであることを判断するのは視聴者に委ねることにしたと語った上で、次のように続けた。
「事実として、何千人もの子供たちが、『「ハイスクール・ミュージカル」がなければ、ありのままの自分になれていたか分かりません。気楽にカミングアウトできていたかも分かりませんし、自分自身を受け入れてあげられていたかも分かりません』って言ってくれたんだ」とケニーは語り、多くの子供たちから、『ハイスクール・ミュージカル』のおかげでありのままの自分たちを受け入れることができたと言ってもらえたと明かした。
2008年に放送された『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』で締めくくられたこのシリーズでは、ライアンがゲイであることが明かされることはなかったけれど、ディズニー・チャンネルは2017年に放送したドラマ『アンディ・マック』のエピソードで、初めて同性愛をテーマに。メインキャストの1人である13歳の少年サイラスがカミングアウトするシーンが描かれ、大きな反響を呼んだ。(フロントロウ編集部)