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キアヌ・リーブス主演の映画『マトリックス』誕生のきっかけは、監督のリリー・ウォシャウスキーがあることに怒りを感じていたからだった。(フロントロウ編集部)

キアヌ・リーブスの伝説的映画『マトリックス』

 1999年に公開された『マトリックス』は、キアヌ・リーブス主演の大ヒット映画。同年のアカデミー賞では視覚効果賞、編集賞、音響賞、音響編集賞を受賞し、『マトリックス リローデッド』、『マトリックス レボリューションズ』と続いたシリーズ全3作品の累計興行収入は1,800億円を記録している。

画像1: ©️WARNER BROS. PICTURES

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 『マトリックス』は仮想空間を舞台に、人類とコンピューターの戦いを描いたSF。ダイナミックなアクションシーンや斬新なストーリーで多くのファンを魅了し、最先端の技術を集めて制作された本編は「映像革命」とまで評された。

 そして第1作目の『マトリックス』公開から20年が経過した2019年の8月、米ワーナー・ブラザースは『マトリックス4』の制作を決定。ネオ役を演じたキアヌと、トリニティー役のキャリー・アン・モスが続投することが報じられ、ファンを大いに沸かせた。

画像2: ©️WARNER BROS. PICTURES

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 全米リリースは2021年の5月21日になることが決まっているものの、新型コロナウイルスの影響で延期となる可能性がある。『マトリックス4』には、同じくキアヌ主演のヒット映画『ジョン・ウィック』の監督チャド・スタエルスキがサポート役として参加しており「信じられないほど面白い」と言っている。

 そんな本シリーズの監督を務めたリリー・ウォシャウスキーは、当時『マトリックス』を制作したきっかけとなった思いを明かした。

怒りを原動力に生まれた『マトリックス』

 映画『マトリックス』三部作の監督は、“ウォシャウスキー姉妹”として知られるラナとリリーの二人組。 ちなみに『マトリックス』制作時は、ラリーとアンディという“ウォシャウスキー兄弟”だったけれど、その後二人とも性別適合手術を受け、ラナとリリーに改名し、現在はウォシャウスキー姉妹として活動している。

画像: リリー・ウォシャウスキー(左)、ラナ・ウォシャウスキー(右)

リリー・ウォシャウスキー(左)、ラナ・ウォシャウスキー(右)

 ラナは新作『マトリックス4』でも監督として参加することが決定しているけれど、リリーは本作に関与しないことが発表されている。二人はNetflixのドラマ『センス8』を制作して以来、それぞれ別の作品に取り組んでおり、リリーは2019年にコメディドラマ『Work in Progress』を制作した。その作品は、米辛口批評サイトのRotten Tomatoesで100%のスコアを取得するという高評価を得ている。

 そんなリリーは、米THRで映画『マトリックス』制作に至った際の感情を告白。その思いは、「怒りと憎しみ」であったという。

画像: 怒りを原動力に生まれた『マトリックス』

 2016年にトランスジェンダーであることをカミングアウトし性別適合手術を受けたリリーは、それまでずっと自身のセクシュアリティについては明かしていなかった。そんな背景もあってか、彼女は『マトリックス』制作時、資本主義や社会の抑圧的な構造に対して激しい怒りと憎しみを感じていたそうで、『マトリックス』の中にもジェンダーの要素、トランスとしての経験がたくさん隠されていると明かした。

 彼女は、「(抑圧的な社会構造のせいで)自分で自分を抑圧してしまっていることや、クローゼット(※)に留まらなくてはいけないことに、湧き起こるような怒りを感じていた」と付け加えた。

※クローゼットとは、自分自身の性的指向を隠すことの隠喩。

 そんな彼女は、2016年に自身のセクシュアリティを公表したことで、「トランスであることを公表した私は、トランスジェンダーの一人として年を重ねることができるといういい見本の一つになれたと思う」と語っている。

 とはいえ、彼女の中に湧き立つ怒りの炎は消えてはいないよう。同インタビューの中では、「より多くのクィア、トランスを作品に登場させていきたい。私たちに何ができて、私たちがいかに優れたアーティストであるかを示したい。簡単に諦められることではないよ」と決意を新たにしている。

 彼女は最近、差別的な意見として『マトリックス』の名台詞を引用したアメリカのドナルド・トランプ大統領の娘で大統領補佐官のイヴァンカ・トランプ氏と、テスラ社CEOのイーロン・マスク氏に怒りを表明した。彼女は自身を抑圧的な状況に追い込んだ映像業界には嫌気がさしており、積極的に作品を作ることに前向きではないという意向を示しつつも、新作の評価やこうした怒りの表明を鑑みるに、業界にとってはなくてはならない存在であるのは間違いない。(フロントロウ編集部)

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