ケンタッキーフライドチキンの名キャッチフレーズが
「不適切」と見なされる時代に
1952年にアメリカ・ケンタッキー州でカーネル・サンダースによって創設され、その後、日本を含む世界の国々でフランチャイズ展開されるファストフードチェーンへと成長したケンタッキーフライドチキン(以下、KFC)。
独自の製法によって作られるフライドチキンは、2020年初春から新型コロナウイルスの世界的感染拡大が蔓延し、多くの人々がステイホーム生活を送るようになってからは、自宅で何とかして“あの味”を再現しようとする人が続出するほど、つい無償に食べたくなってしまうファストフードの1つとして現代人の生活に根づいている。
そんなKFCの英語圏の店舗で約54年間にわたって使われてきたのが、「It’s Finger Licking’ Good(イッツ・フィンガー・リッキン・グッド)」という日本でも有名なキャッチフレーズ。
その言葉通り、「手についた油を舐めてしまいたくなるほど美味しい」という意味の売り文句だが、これが、パンデミックの深刻化とともに、こまめな手洗いや除菌が推奨されるwithコロナ時代には「衛生的ではない」、「適していない」と、世間からのクレームの対象に。
これを受け、アメリカでは、3月からすでにこのキャッチフレーズの使用が控えられていたが、今回、改めて、当面の間、同スローガンの使用を見合わせることを米KFCの広報が正式に発表した。
イギリスとアイルランドで店舗を運営するKFC UK and Irelandは「Finger Lickin’(指を舐める)」という文字をモザイクで隠した広告看板や、パッケージを映した告知動画まで公開。
映像の最後には、「私たちがいつも言っていること? …今は、それは、無視してください」とダークユーモアを感じるコメントも添えられていた。
KFCのグローバル・マーケティングチームのキャサリン・タン・ギレスピー氏は「私たちは今、これまで使用してきたアイコニックな宣伝文句が現在の環境にはそぐわないという、特異な状況にに置かれています。『It’s Finger Licking’ Good』の使用は停止しますが、世界中の人々が欲してくださっている食べ物に関しては、今後も変わりませんので、ご安心ください」と声明の中で発言している。
欧米のKFCでは、新型コロナ禍も万全な感染拡大防止策を徹底したうえで、おもにドライブスルーやテイクアウト、デリバリーによる営業を続けている。
いつかまた、KFCのお馴染みのキャッチフレーズが無事カムバックを果たせた時こそが、多くの人々がパンデミックの終焉を確信できる瞬間なのかもしれない。(フロントロウ編集部)