新型コロナウイルスのパンデミックが4年目に突入した“架空の未来”を舞台にした、マイケル・ベイ監督プロデュースによるSFスリラー映画『Songbird(ソングバード)』の予告編が公開。早くも物議を醸している。(フロントロウ編集部)

ロックダウン突入4年目、進化したウイルスの脅威を描く映画『Songbird』

 映画『トランス・フォーマー』シリーズや『アルマゲドン』などで知られる映画監督/プロデューサーのマイケル・ベイが主導となり、パンデミックをテーマにしたスリラー映画を制作し、外出禁止令が出されたロサンゼルスで撮影を決行するというニュースをフロントロウでも今年5月にお伝えしたが、それから4カ月が経ち、『Songbird(原題/ソングバード)』と題された同作の予告編が公開された。

 SFスリラー映画『Songbird』は、新型コロナウイルス(COVID-19)が、さらに強力で致死率の高い「COVID23」へと変異し、人々がより強化されたソーシャル・ディスタンスのルールの厳守を余儀なくされ、ゴーストタウンと化してしまった2024年のロサンゼルスが舞台。

 主人公は、ロックダウン4年目に突入するなか、バーチャルで恋に落ち、いつか顔を合わせて触れ合うことを夢見る、若いカップル。愛し合う2人が、ウイルスの脅威にくわえて、感染の疑いがある人々を一度入ったら二度と出ては来られない「Qゾーン」と呼ばれる施設に徹底的に隔離しようとする組織の陰謀に巻き込まれていくという、シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』を彷彿とさせるせつないラブストーリーも描かれる。

 COVID-23に免疫を持ち、配達員として働く青年“ニコ”を演じるのは、ドラマ『リバーデイル』でブレイクしたニュージーランド出身の俳優KJ・アパ。ニコの恋人で、ウイルスに感染した疑いをかけられる女性“サラ”は、ディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービー『ディセンダント』のイーヴィ役で知られる俳優兼シンガーのソフィア・カーソンが演じる。

画像: 左:KJ・アパ、右:ソフィア・カーソン

左:KJ・アパ、右:ソフィア・カーソン

 主人公となる2人のほかにも、ニコに与えられる“ミッション”のカギを握る裕福な夫婦役に映画『 ゲット・アウト』のブラッドリー・ウィットフォードと映画『ゴースト/ニューヨークの幻』のデミ・ムーアがキャスティング。

 ニコの上司役に映画『ルディ・レイ・ムーア』のクレイグ・ロビンソン、“禁じられた情事”に巻き込まれるシンガー役に映画『カリフォルニア・ダウン』のアレクサンドラ・ダダリオ、障害を抱え、親友のドローンに耳目となってもらう生活を送る退役軍人役に映画『ブラック・クランズマン』のポール・ウォルター・ハウザー、感染者や感染の疑いがある人々を次々と「Qゾーン」に強制収監する市の“衛生局”の狂気的な局長役には、映画『ジョン・ウィック:チャプター2』のピーター・ストーメアが扮する。


リアルな不安を煽りすぎと批判も

 『Songbird』は、スリラー映画『ハングマン』のアダム・メイソンが監督を務めるほか、『パラノーマル・アクティビティ』や『アナベル』、『パージ』といった人気ホラー作品の制作陣が集結。

 さすが、観客たちを恐怖に陥れる達人たちが制作に携わっただけあり、今回公開された第1弾予告編を見るだけでも、「もし、数年後の世界が、本当にこうなってしまっていたらどうしよう…」と、不穏で重苦しい気持ちになってしまう。

 欧米では、秋から冬にかけて、COVID-19の第2波の到来が危惧されており、感染者数が再び激増したため、すでに2度目のロックダウン措置が取られている地域もある。そんな最中に予告編が解禁された『Songbirds』は、架空の未来を舞台にしたストーリーとはいえ、あまりにも人々のリアルな恐怖や不安を煽りすぎているのではないかとの意見も。

 ツイッターでは、「このタイミングでこの作品は悪趣味」、「人々の恐怖を煽って金儲けしようとしている」、「COVIDで大切な人を亡くした人もたくさんいるのに」、「こんな映画は今必要とされていない」と、強い不快感を露わにする人も相次いでいる。


猛スピードで制作

 “新型コロナウイルス禍で最初に制作されたハリウッド映画”と銘打ち、パンデミック禍でさまざまな制限があるなか急ピッチで撮影が進められた『Songbird』。

 メイソン監督が米Entertainment Weeklyに語ったところによると、サラ役のソフィアのキャスティングは、脚本が仕上がった週末に、Netflixで彼女の主演作『フィール・ザ・ビート』を観て、彼女の演技が気に入ったというメイソン監督が、水曜日にソフィアとZoom(ズーム)で対話し、金曜日にはソフィアが『Songbird』の撮影セットに立っていたというスピーディーさで決定。

画像: 猛スピードで制作

 ソーシャル・ディスタンスのルールを守るため、一度にセットに入れるスタッフの人数は40名までとされたが、撮影はわずか17日間で完了したという。

 ソフィアは、今まさに人々を恐怖に陥れているパンデミックを題材にした『Songbird』の核心には、“希望”のメッセージが込められているとEntertainment Weeklyに語っている。「これはパンデミック・スリラーで、サスペンスや恐怖を扱った作品だけど、物語の根底にあるのは希望。サラというキャラクターや、彼女とニコの間にある愛情は希望を表している。終わりが見えない闇夜のなかで、“Songbird(鳴き鳥)”が希望の歌をうたうの」。

 映画『Songbird』の公開日や劇場公開となるかという情報は、現時点では発表されていない。(フロントロウ編集部)

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