接戦となった米大統領選で当選を確実にした民主党のジョー・バイデン前副大統領が、野球帽に書かれた“手短なメッセージ”を通じて、トランプ大統領への勝利を宣言し、暗に皮肉っているのではないかと話題になっている。(フロントロウ編集部)

バイデン氏着用の「帽子の文字」に目を凝らすと…

 ジョー・バイデン前副大統領が正式に第46代アメリカ大統領に就任した場合には、ファーストレディとなる夫人で教育学者のジル・バイデン博士が、バイデン氏当確のニュースがアメリカ全土を駆け巡った現地時間の7日、ツイッターにバイデン氏とのツーショットを投稿。

 「彼は私たち(アメリカ国民)みんなの家族のために働く大統領になるでしょう」というひと言とともにアップされた写真には、マスク姿のジル夫人が「Dr. & Vice President Biden Live Here(バイデン副大統領&博士がここに住んでいます)」と書かれた、バイデン氏が大統領を務めていた頃に制作されたとみられるボードの「Vice(副)」の部分を手で隠すという、遊び心を感じる方法で、バイデン氏の大統領当確を喜ぶ姿が写っている。

 バイデン氏を応援するたくさんの支持者たちがこの投稿に反響を寄せたが、最も注目を集めたのは、ボードに書かれたメッセージではなく、バイデン氏がかぶっている帽子に書かれた言葉。

 民主党のシンボルカラーであるブルーのベースボールキャップには、「We Just Did.(私たちはやりました)」という文字と、バイデン氏が第46代アメリカ大統領となることを意味する「46」という数字が刺繍されている。


「MAGAハット」に対抗 or 応答している?

 ドナルド・トランプ大統領といえば、ヒラリー・クリントン氏と第45代アメリカ大統領の座をかけて戦った前回の大統領選挙から掲げている「Make America Great Again(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン/アメリカ合衆国を再び偉大な国に)」というスローガンが刺繍が施された赤いキャップを幾度となく着用。このキャップは「MAGA(マガ)ハット」と呼ばれ、トランプ政権における最も象徴的なアイテムとして支持者からも反対派からも注目されてきた。

画像: 「MAGAハット」に対抗 or 応答している?

 とあるTikTokユーザーが、バイデン氏着用のキャップに施された「We Just Did」というメッセージは、トランプ大統領の「MAGAハット」に対抗、もしくはパロディしたものなのではないかと推測。

 まるで、トランプ大統領が唱えた「アメリカを再び偉大な国にする」というスローガンに対して「私たちがやりました」、「やったのは私たちです」と応答しているようだと動画を通じてネタにすると、たくさんの人々がこれに反応。「この帽子、欲しい! どこで買えるのかな?」、「バイデン氏のマーケティングチームはやり手すぎる」と沸き立った。

 真相は定かではないが、バイデン陣営は、過去にもトランプ陣営をからかうようなグッズを開発した実績がある。

 10月に民主党のカマラ・ハリス副大統領候補と共和党のマイク・ペンス副大統領がテレビ討論会を行なった際、ペンス副大統領の頭に1匹のハエが止まったことが話題となったが、これを受け、バイデン氏の公式ストアでは、すぐさま「ハエよりも真実を」と書かれた“ハエ叩き”が発売されて笑いを誘った。

 バイデン氏は、過半数の選挙人を獲得し、当選確実となったことを受けて、すでに公式に勝利宣言を行なっており、政権移行に向けた準備も進めているが、トランプ大統領は、一部の州での投開票は「不正」だと証拠がないまま主張して訴訟を起こすなど、現時点では敗北を認めていない。(フロントロウ編集部)

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