監督交代に見舞われた『ボヘミアン・ラプソディ』
クイーンの伝説的なフロントマンである故フレディ・マーキュリーの半生を描き、世界中で驚異的なヒットを記録した2018年公開の映画『ボヘミアン・ラプソディ』。2019年のアカデミー賞では、フレディを演じたラミ・マレックの主演男優賞を含む4部門を受賞するなど、批評的にも大成功を収めた本作だけれど、撮影終了直前に監督交代に見舞われるという、思わぬハプニングにも見舞われている。
本作は、製作当初から映画『X-MEN』シリーズなどで知られるブライアン・シンガーが監督を務めていたものの、彼は撮影終了の直前になって、表向きには「本人および家族の健康問題」という理由で監督を降板。
一方で降板の理由は、ラミをはじめとしたスタッフたちとの確執や、彼が過去に起こした未成年男性への性的虐待疑惑ではないかともされている。ブライアンについては、降板が発表された直後にある男性から「まだ17歳だった2003年にヨットの上で性的暴行を受けた」として訴えを起こされたほか、2019年には、未成年時代にブライアンから性的虐待を受けたり、彼と淫らな行為を行なったりしたとして4人の男性からも告発された。
ブライアンの降板を受けて、『ボヘミアン・ラプソディ』の監督には新たに、2019年公開のエルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』でも監督を務めたデクスター・フレッチャーが就任。全米監督協会の規則に従って、クレジット上は監督として名を連ねているものの、制作総指揮には後任のデクスターの名前が記載されている。
ラミ・マレックが撮影現場の緊張感を振り返る
先日、主演のラミが英GQとのインタビューで『ボヘミアン・ラプソディ』の撮影について回想。監督が交代した後で、現場の緊張感がキャストを団結させたと振り返った。
「異例の事態になって、全員で目的に向かって立ち上がったんだ」とラミは振り返っている。「僕らは素晴らしい作品を作るために自然とお互いを信頼し合って、お互いのことを気にかけるようになった」。
「その後の人生でずっと続くことになる友情を築いたんだよ」とラミは続けて語り、キャストたちとの間に芽生えた深い友情を振り返った。ラミは、本作でメアリー・オースティン役のルーシー・ボイントンと共演したことがきっかけで、プライベートでも交際に発展したことで知られている。
ラミは今年8月、ルーシーと、クイーンのドラマーであるロジャー・テイラーを演じたベン・ハーディの3人でイギリスのロンドンにあるレストラン「Brasserie of Light」を訪れたところもキャッチされている。
また、今年5月には、劇中でクイーンのメンバーを演じたベンと、ジョセフ・マッゼロ(ジョン・ディーコン役)、そしてグウィリム・リー(ブライアン・メイ役)の3人がZoomを使ってオンライン上で再会を果たすという出来事も。ラミの言う通り、本作のキャストたちは今も、「人生でずっと続くことになる」深い友情で結ばれている。(フロントロウ編集部)