同性愛者を公言するラッパーのリル・ナズ・Xが、一部の人たちから送られてくる性的な嫌がらせコメントに対して反論した。(フロントロウ編集部)

リル・ナズ・Xがヘイターに物申す

 昨年、異色のカントリーラップソング「オールド・タウン・ロード(Old Town Road)」が全米シングルチャートで驚異の19週連続でナンバー1を獲得し、さらに今年のグラミー賞で初ノミネートにして2部門で受賞を果たしたリル・ナズ・Xが、ユーチューバーやインフルエンサー、メイクアップアーティストなど様々な肩書きを持つジェームス・チャールズとコラボしたメイク動画に、一部の人たちから性的な嫌がらせコメントが寄せられていることに苦言を呈した。

 リル・ナズとジェームスはともに同性愛者であることを公言しているが、そんな2人の性的指向をいじるかのように「この動画を撮ったあとヤッたに違いない」といった、心ないコメントを残す輩が。

 言い返したところで聞く耳を持たない人も多いので、スルーするという選択肢もあったはずだが、以前から、ヘイト(ディスや嫌悪コメント)に対して、あえてジョークを交えて返信しているリル・ナズは今回も沈黙ではなく声を上げることをチョイス。

 ジェームスとのコラボ動画について伝えた米Pop Craveのツイートに返信するかたちで、「みんなすぐ性的な方向に持っていこうとするけど、ゲイの男性2人は(性的なこと以外でも)一緒に
何かすることができる」と、ごもっともな正論を突きつけた。

画像: リル・ナズ・Xがヘイターに物申す

 ちなみに、彼のようなセレブがカミングアウトするのは今どき珍しいことではないが、黒人社会ではいまだにLGBTQ+の人たちへの差別が根強く残っており、ヒップホップ界はショービズ界のなかでもLGBTQ+への風当たりが強く厳しい世界だと言われている。状況は変わりつつあるものの、「黒人」でなおかつ「ラッパー」のリル・ナズが、自身のキャリアがやっと好調の波に乗りはじめたタイミングで自身のセクシャリティを公表したことは、ショービズ界だけでなく社会全体に大きな衝撃と影響を与えた。

 同業者のなかにはいまだに彼のことをイロモノとして見る人もいるが、同性愛者であることを公表して以降、インタビューやSNSを通じて積極的に自身のセクシャリティについて発言しているリル・ナズは、ヘイターにも果敢に立ち向かうという独自のスタンスを貫いている。(フロントロウ編集部)

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