更新(2020年11月25日)
ルーカス・ゲイジが暮らす狭いアパートを蔑むような発言をした監督が名乗り出て謝罪した。声の主は、『ブルックリン・ナイン-ナイン』や『New Girl / ダサかわ女子と三銃士』、『私の"初めて"日記』などに携わったテレビプロデューサー/監督のトリスタン・シャピロ氏。
シャピロ氏は、米Deadlineに寄せたエッセイを通じて、ルーカスに聞かれているとは思っていなかったとしても、自身の言葉は失礼で、オーディションにあんな発言をするのはプロ失格だったと反省。Zoomオーディションが行なわれたのは、8月の事で、「こういう可哀想な人たちって、こういう狭いアパートに…」という発言は、パンデミックの最中に狭い家で外出自粛しながら、オーディションで役を勝ち取らなくてはならないなんて、とても気の毒だという同情を込めたニュアンスで言ったまでで、決して馬鹿にしたわけではなかったと釈明した。
Zoomオーディションの最中に部屋をディスられてしまう
(2020年11月24日)新型コロナウイルスの流行で利用率が大幅に増加したWeb会議サービス「Zoom(ズーム)」は、ハリウッドでも大いに活用されており、映画やドラマのオーディションでは、監督やプロデューサーらを前に役者たちがリアルタイムで演技を披露したり、面接を行なったりするといった使い方が定着しつつある。
駆け出しの俳優のルーカス・ゲイジも、自宅の一室で、出演を希望する作品のZoomオーディションに参加したのだが、その最中に、審査を担当した監督から住まいを思いきり貶されてしまうという災難に。
Zoomには、自分の声を参加者に聞こえないようにする「ミュート」機能があるが、この監督は、ミュートにしたつもりが、していなかったよう。ルーカスが演技の準備をしている合間、そばに居た人物に向かって、「こういう可哀想な人たちって、こういう狭いアパートに住んでるんだよな。彼の背後を見てみろよ。テレビがあって‥‥」とブツブツとつぶやいた。
psa if youre a shit talking director make sure to mute ur shit on zoom mtgings pic.twitter.com/PTgMZcRhEw
— lukas gage (@lukasgage) November 20, 2020
質素な暮らしぶりをディスられたルーカスは、気まずそうな表情を浮かべて、「ミュートにしてください」とコメント。普通なら心が折れてしまいそうな出来事だが、ルーカスは、すかさず、「僕の部屋が粗末なのはわかっています。だからこそ、どうか、僕にこの仕事をください! そうしたら、もっと良い所に住めますから…」と懇願し、すぐに気持ちを切り替えた。
悪口を聞かれていたことにハッとした様子の監督は、慌てて「オー・マイ・ゴッド。本当にごめん」と謝罪。ルーカスは「いいんです、僕は4×4ボックスみたいなアパートに住んでいるのは事実ですから。だから、仕事をください!」と食い下がった。
たくさんのセレブから同情&励ましの声が
結局、このオーディションには落ちてしまったというルーカスは、「重要なお知らせ:あなたがもし、悪口を言いがちな監督なら、ズーム会議中は悪口をミュートにしましょう」という皮肉を添えて動画を公開。
この動画は記事執筆時点で930万回以上再生されており、悪口を言われても、めげなかったルーカスには、たくさんのエールが寄せられている。
そのなかには、有名セレブたちも多数含まれており、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のサンサ・スターク役で知られるソフィー・ターナーは、「まじで、酷すぎ」と監督を批判。ソフィーの夫でバンド、ジョナス・ブラザーズのメンバーのジョー・ジョナスも、「君の対処の仕方はまるでチャンピオンだ」とルーカスの機転の良さを褒めた。
映画『ハリエット』のシンシア・エリヴォは、「あの人物に代わって、私がお詫びする。あれは許されない。あなたは完璧なまでに優雅に対応したね」とルーカスを励まし、コメディ俳優のビリー・アイクナーは、「俳優たちは、よく、こんなゴミみたいな扱いを受けてる。『仕事があるだけラッキーだろ』、『(どんな扱いをされても)どうせ仕事を受けるしかないだろう』と思われているんだ。本当にどうかしてるよ」と、ルーカスが受けたような扱いは、ハリウッドでは日常茶飯事だと指摘した。
ドラマ『シェイムレス 俺たちに恥はない』のエミー・ロッサムに至っては、「私、この声の主が誰だかわかっちゃったかも」と、ルーカスの部屋を小馬鹿にした監督の正体に言及。「私の予想が正しければ、彼には一度、“オーディション”に呼ばれたことがある。でも、台本を読むんじゃなくて、彼のオフィスに出向いて、ビキニ姿でくるくる回って欲しいと言われたの。冗談じゃなくてホントの話」と、同じ監督からセクハラまがいのオーディションの誘いを受けたことがあると暴露し、「彼は私が『今、太っているかどうか知りたがっていた』んだと、エージェントから聞いた。私は『結構です。失せやがれ』と伝えてって返したけど」と明かしていた。
彼らのほかにも、映画『アクアマン』のパトリック・ウィルソン、映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のダコタ・ファニング、ドラマ『glee/グリー』のジェナ・アシュコウィッツとケヴィン・マクヘイル、ドラマ『プリティ・リトル・ライアーズ』のルーシー・ヘイル、俳優のアーノルド・シュワルツェネガーの長男で俳優として活動するパトリック・シュワルツェネッガーなど、数えきれないほどのセレブたちがこの件に反応している。
共演者たちも反応
今回の件をきっかけに、知名度がぐんとアップしたルーカス。近年では、ドラッグに溺れる女子高生を熱演したゼンデイヤが、史上最年少でエミー賞の主演女優賞を受賞したことでも話題となったHBOのドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』や、ゲイであることを打ち明けられない高校生が主人公の学園ラブストーリー映画『Love,サイモン17歳の告白(Love, Simon)』のスピンオフドラマ『Love, Victor(原題)』といった話題作に端役で出演し、少しずつ役者の道を切り開いている。
『ユーフォリア/EUPHORIA』 のキャストたちも、ルーカスの動画にリアクションを見せており、以前からこの件について知っていたキャット役のバービー・フェレイラは、「マジで公開しちゃったんだね!」とコメント。
キャシー役のシドニー・スウィーニーは「あなたのアパートのほうが私のよりもずっとイケてるし。同居させてくれない?」、レクシー役のモード・アパトーは、「ルーカス、私、(笑いすぎて)息ができない」と、友人らしいコメントで反応していた。
ちょっとした出来心で言った悪口が、こんな大ごとに発展してしまうとは、当事者の監督は今頃、激しく後悔しているはず。それに引きかえ、ディスへの巧みな対処や勇敢な告発で注目を浴びたルーカスには、ぜひ、今後役者として大きく羽ばたいてほしいと世間の期待が高まっている。(フロントロウ編集部)