大ヒット映画『ホーム・アローン』
映画『ホーム・アローン』は、1990年に公開された映画で、クリスマスシーズンの定番映画。クリスマスに家族と出かける予定だった8歳の少年が家に取り残されてしまい、そこにやってきた二人組の泥棒と戦いを繰り広げるというコメディ作品。
本作は、当時10歳だった俳優、マコーレー・カルキンの出世作となり、全世界での興行収入は、約500億円を超える大ヒットを記録。二人組の泥棒役には、映画『アイリッシュマン』や『グッドフェローズ』などのオスカー俳優ジョー・ペシと、映画『フランケンウィニー』のダニエル・スターンがキャスティングされ、コミカルな悪役を見事演じた。
そんな本作だけれど、実は制作時にハリウッドのルールを破るとんでもない掟破りが行われていたと、Netflixの番組『ボクらを作った映画たち』で明かされている。
『ホーム・アローン』の掟破りとは?
映画『ホーム・アローン』は、米映画会社の20世紀フォックスによって制作、興業が行われた作品として知られている。しかし制作の最初期は、ライバル企業の米映画会社ワーナー・ブラザースで制作が行われていた。
本作のプロデューサーであるジョン・ヒューズは当初ワーナー・ブラザースに対し、『ホーム・アローン』を約11億円(1,000万ドル)で制作することができると説明していた。当時公開されていた他の作品の制作費が77億円(7,000万ドル)だったことを鑑みるに、約11億円というのは破格の値段。
ところが制作が進むにつれて費用がかさんでいき、約15億円(1,470万ドル)ほどに。けれども、他の映画の制作費と比較すると、まだまだとるに足らない程度の赤字だとジョンは考えていた。そしてワーナー・ブラザースに予算の変更を伝えたところ、すぐに制作総指揮のスコット・ローゼンフェルトのもとに、制作を中止するようにと電話が入ったそう。そのまま制作は中止され、ワーナー・ブラザースは『ホーム・アローン』から手を引いてしまった。
しかし、ジョンはこの事態を見込んで、数週間前にあらかじめライバルの映画会社である20世紀フォックスと会って脚本を見せ、制作に手を貸してくれるよう頼んでいたのだった。
実はこの行為、ハリウッド映画界ではタブー。法律上、ある映画会社と契約をしている場合、法的に方針が転換されるまでは他の映画会社に作品の資料を見せてはいけないことになっているため、ジョンの行なった行為はかなり危ない賭けだった。そのため脚本のコピーは、ジョン側の関係者がある場所に“置き去り”にして、それを相手側が“見つける”という、ある意味で姑息なやり方で手渡されていた。
そんな「掟破り」の交渉の中で20世紀フォックスは『ホーム・アローン』の脚本をとても気に入り、ワーナー・ブラザースとの間に何かあればすぐに予算をカバーしてくれると言ってくれたそう。
そうして、ワーナー・ブラザースが手を引いた後に20世紀フォックスで制作された『ホーム・アローン』はご存知の通り、500億円を超える世界的ヒットとなり、毎年のクリスマスは世界中で放送される定番作品に。
今では知らない人がいないほど有名な『ホーム・アローン』は、こうした駆け引きのもと作られていた。この他にも『ダイハード』などを含む数本の名作の裏話が明かされているNetflixの番組『ボクらを作った映画たち』をぜひ視聴して楽しんで。(フロントロウ編集部)