AOC、トラウマとなっている経験について
名前の頭文字からAOCと呼ばれて支持されているアメリカのアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員が、性暴力サバイバーであることを明かした。
コルテス議員がそのことについて話したのは、今年1月に起こったドナルド・トランプ氏の支持者が連邦議会議事堂で起こした暴動について自身のインスタグラムで語っていた時。
民主党所属のコルテス議員は、労働者階級出身の若手女性政治家として知られ、これまでにトランプ大統領や共和党所属の政治家、保守系メディアの標的にされてきた。そして暴動の参加者の1人が、「AOCを暗殺しろ」とツイートしていたことも確認されている。そのことを考えると、彼女が暴動の際に「死ぬ(殺される)と思った」と語るのは簡単に理解できる。そしてその経験によるトラウマについて、こう話した。
「私がこれを話している理由、そしてエモーショナルになっている理由は、私たちに(事件を忘れて)進めと言い、それは大したことじゃないと言い、何が起こったか忘れるべきだと言い、さらには謝罪しろとまで言ってくる人たちのせいです。これは虐待を行なう人々と同じ戦略ですよ。そして私は、性暴力のサバイバーですし。このことについて、人生で多くの人に話すことはしてきませんでした。しかし私たちが何かしらのトラウマを経験する時、それぞれのトラウマは混ざり合うものです。もしあなたがネグレクトやそういった親を持っていたら、もし言葉での虐待をしてくる人が周囲にいたことがあるのなら、虐待のサバイバーであるのなら、人生で、大なり小なりトラウマになることを経験していたら、そういった経験はお互いに結びつくのです」
その過去の経験について多くは語らなかったコルテス議員だけれど、議事堂での暴動が自身の過去の性的暴力のトラウマのトリガーとなったことを明かし、トラウマを持つということについて語り、そういった思いを抱える被害者の傷を軽んじることについて苦言を呈した。また、一部の共和党議員が、暴動の責任から逃れているとして批判した。
声をあげてきたAOC
コルテス議員が公にその経験を明言したのは初めてだけれど、彼女は女性を支援する活動や発言を数多く行なってきた。2020年7月には、共和党のテッド・ヨーホー議員に「むかつく」「頭がおかしい」などといった侮辱をされ、こうスピーチしている。
「ヨーホー議員の発言は、私にとっては深く傷つくものであったり、刺さったりするものではないと、明確にしておきたいと思います。なぜなら、私は労働者階級の仕事をしたことがあるからです。レストランでウェイターをしていたことがあります。電車に乗ったことがあります。ニューヨークの街を徒歩で歩いたことがあります。そのなかで、あのような発言は新しいものではありません。私はヨーホー氏からあのような言葉を投げかけられました。そしてレストランで嫌がらせをされた時に、ヨーホー氏と同じ言葉を他の男性たちから受けたことがあります。ヨーホー氏と同じ言葉を使った男性たちを、バーから追い出したこともあります。そしてニューヨークで地下鉄に乗っている時に、そのような嫌がらせに遭遇したことがあります。これは新しいことではない。そしてそれこそが問題なのです」
コルテス議員が、自分がサバイバーであることを明かした後、「人々が、『あー。彼女は自分事にしようとしてる』と言うでしょう。しかしトラウマは、交差し、影響しあいます」と語っていたけれど、その後実際に、彼女を誹謗中傷する人によって、彼女を嘘つき呼ばわりするハッシュタグも出来た。
一方で、 差別的なハッシュタグが拡散された時にわざとそのハッシュタグを使ってK-POPアイドルなどの無関係な写真を連投してハッシュタグを乗っ取ろうとするカウンターの動きも見られるなど、コルテス議員を支持する勢力も力も強めている。
ハッシュタグを使った反撃は過去にも起こっており、2020年10月には各地のゲイカップルたちが、先日カナダでテロ認定された極右団体で、トランプ氏の支持グループである「プラウド・ボーイズ(誇りを持ったボーイズ)」のハッシュタグを使って、カップル写真を投稿。ゲイカップルたちこそが“誇りを持ったボーイズ”だとして、ハッシュタグを乗っ取ったことがある。(フロントロウ編集部)