リアーナ監修のハイブランドが運営休止へ
ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)やディオール(Dior)、ジバンシィ(Givenchy)、FENDI(フェンディ)、CELINE(セリーヌ)といった一流ブランドを傘下に置く、ファッション業界最大手LVMH(LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)社との提携でシンガーのリアーナが2019年5月に設立したファッションブランド「フェンティ(Fenty)」が、運営を休止することが米WWDを通じて出された声明により明らかになった。
LVMHは、「リアーナとLVMHは、状況が改善されるまで、ヨーロッパを拠点とするフェンティの既製服ラインの運営を保留とすることを共に決断しました」と発表。
しかし、内部関係者は、パリにある本社オフィスには、一握りの数のスタッフだけが残り、運営を縮小するための作業に取り組んでいるとWWDに証言しており、同ブランドの売り上げのほとんどを占めるオンラインストアも近いうちに停止予定だという。
これらの情報から、表向きは「保留」としているが、このままブランドが閉鎖される可能性が高いものと推測されている。
新型コロナウイルスの影響でアパレル業界全体が大きな打撃を受けるなか、LVMHは2020年7~9月期(第3四半期)の決算では、グループ全体での売上高が前年同期と比べて10.2%減少し、119億5500万ユーロ(約1兆4704億円)にとどまったことを報告。前期と比べると順調に回復してはいるが、フェンティに関しては、同社のジャン・ジャック・ギヨニー最高財務責任者(CFO)が「まだ創設の初期段階にあり、どうするのが最も適切かを見出そうとしている。簡単なことではない」とコメントしていた。
逆に「良い報せ」である可能性も
ここ数年のあいだ、音楽活動から距離を置き、コスメブランドのフェンティ・ビューティー(Fenty Beauty)やスキンケアブランドのフェンティ・スキン(Fenty Skin)、ランジェリーブランドのサヴェージXフェンティ(Savage X Fenty)のプロデュースに力を入れ、いずれも成功させてきたリアーナ。
店頭にいち早くプラスサイズのマネキンを取り入れてボディポジティブを推奨したり、藍染めや古代日本画といった日本の伝統文化にインスピレーションを得たコレクションを発表してきたフェンティが、創設からわずか2年を待たずして休止となってしまうのは非常に残念だが、リアーナとLVMHの関係はこれで終わるわけではない。
むしろ、両者は、今回の決断は、今後リアーナのブランドをさらに大きく成長させるための足がかりだと考えているよう。
フェンティの休止発表とほぼ同時に、サヴェージXフェンティが、LVMHと戦略的提携関係を持つ投資会社Lキャタルトンを含む複数の投資家から、1150億ドル(約120億円)の出資を得たと報告。
LVMHは、「LVMHとリアーナは、フェンティ・エコシステム(収益構造)をより成長させ、長期的に発展させていくという目標を再確認するため、コスメ、スキンケア、ランジェリーにフォーカスします」とプレスリリースで発表しており、まずは、安定して収益が出ているブランドをさらに強化し、その後、そのほかのプロジェクトを始動させていきたいと計画しているよう。(フロントロウ編集部)