ブリトニー・スピアーズとの破局への対応が物議を醸す
2月5日にアメリカで配信されたシンガーのブリトニー・スピアーズのドキュメンタリー『Framing Britney Spears(原題)』。
米New York Timesが監修した同作では、ブリトニーのデビューからブレイクまでの軌跡にくわえて、2007年頃にメンタルヘルスのバランスを崩した際のメディアでの非情な扱われ方や、今もなお法廷で争われている父親ジェイミーとの後見人問題、さらに後見人問題がブリトニーにとって害であると信じるファンたちが「#Free Britney(ブリトニーを開放せよ)」というスローガンを掲げて行なっている運動についても詳しく取り上げられた。
そして、同ドキュメンタリーでは、ブリトニーが1998年から2002年まで交際していたジャスティン・ティンバーレイクとの破局劇にも焦点が当てられている。
当時ブリトニーとジャスティンの別れの原因は、ブリトニーによる浮気だと報じられたが、ボーイズグループ、インシンクの活動休止後、ソロとしてキャリアをローンチしようとしていたジャスティンは、ブリトニーを“悪者扱い”し、自身を“被害者”のように扱うメディアの報道を否定せず。
『Framing Britney』に出演した批評家のウェズリー・モリス氏は、ジャスティンが、当時、ブリトニーとの破局をプロモーションの一環として利用したと指摘。現に、ジャスティンは、愛する人に裏切られた傷心を歌ったヒット曲「Cry Me A River」のMVにブリトニーのそっくりさんを登場させたことで世間から大きな注目を浴びた。
敬虔なクリスチャンであるブリトニーは、当時、「結婚するまで性交渉はしない」と公言していたが、ジャスティンは、ブリトニーの破局後に応じたラジオ番組のインタビューで、「本当にブリトニーと体の関係はなかったのか? 」と質問攻めにされると、「わかったよ(言えばいいんだろ)、ヤッたよ!」と笑いながら回答。
もし肉体関係があったとしても、それを公表したくはなかったであろうブリトニーの意思を無視した不誠実な発言だったと、ブリトニーのファンたちからは、今でも怒りを買っている。
批判の声を受けて10年越しの謝罪
『Framing Britney』の配信後、あらためてメディアによるブリトニーへの女性蔑視的な扱いを目の当たりにした世間の一部の人々は、ブリトニーとの別れをめぐって誠実だとは言えない対応をしたジャスティンを批判。SNS上ではジャスティンに対し、ブリトニーに謝罪するよう求める声も上がった。
これを受け、ジャスティンが現地時間の2月12日、インスタグラムに長文のメッセージを投稿した。
当時の自身の行動を省みて、非を認めたジャスティンは、ブリトニーの名前を挙げて真摯に謝罪。さらに、2004年のスーパーボウル・ハーフタイムショーでコラボしたジャネット・ジャクソンにも謝罪。当時パフォーマンス中に、ジャスティンがサプライズでジャネットの衣装の一部を取り除くはずが、衣装が丸ごと取れてしまい、生放送でジャネットの胸が露出。2人が関わったパフォーマンスだったものの、当時はジャネットのみがブラックリスト化されるなどキャリアに大打撃を受けた。一方でキャリアに大きなダメージを受けなかったジャスティンは、ジャネットとの騒動でも、彼女を守ることなく、世間からの批判の矢面に立たせたとして、批判を受けていた。
以下、ジャスティンの声明をフロントロウが全文訳。
「みなさんのメッセージやタグやコメント、懸念を目にし、それらにお答えしたいと思います。これまでの人生において、自分の行動が問題の一因となってしまったり、軽率な発言をしてしまったり、正しい事のために声を上げなかったときの事について、僕は深く反省しています。これらの瞬間において、僕の対応は不十分で、女性蔑視や人種差別を良しとしてしまう人々や世間の仕組みに甘んじてしまっていたことを理解しています。
ブリトニー・スピアーズとジャネット・ジャクソンには、とくに個人的に謝罪したい。なぜなら、僕は、彼女たちについて気にかけ、尊敬しながらも、失敗を犯してしまったからです。今回、世間の声に応えようと思ったのは、彼女たちとの件に関連があるすべての人たちに対して、もっと相応しい対応をすべきだと感じたためでもあります。そして何より、この件は、僕自身が心から参加し、そこから学びを得たいと感じている(社会的な)大きな議題の1つだからです。
ショービズ界には欠陥があります。男性、とくに白人男性を成功させようとする風潮があります。そういう風にデザインされてしまっているのです。優位なポジションにある男性として、僕にはこの問題に関して声を上げていく責任がある。無知さゆえ、僕は、自分の人生において、そういった出来事が起きている最中に、そのことに気づくことができませんでした。でも、僕は、二度と、誰かが足をすくわれようとしていることを自分の利益にしたりしません。
キャリアにおいて、僕はずっと完璧な対応をしては来られなかったけど、今回の謝罪は、過去(の罪)を免除することにはならなくても、最初の一歩にはなるはずです。自分の過ちの責任を取り、他人を向上させ、サポートする世界の一員となりたい。僕は自分の愛する人たち、愛した人たちの幸せを大切に思っています。僕は向上できます。してみせます。
ブリトニー自身は、非公認の番組である『Framing Britney』が配信されたことで、かつての恋人であるジャスティンに世間の怒りの矛先が向くことは望んでおらず、「彼女はファンの皆さんに、決してジャスティンを追求するようなことはしてほしくないと望んでいます」と関係者が米Us Weeklyにコメントしていた。
自分の落ち度を正直に認め、心から謝罪したジャスティンのメッセージには、「10年経ったけど、謝るのに遅いことはない」、「最初の一歩だね」といったポジティブな感想も多く寄せられている。ジャスティンの妻であり2児をもうけた俳優のジェシカ・ビールは、ジャスティンの投稿に「アイ・ラブ・ユー」とコメントして支持している。(フロントロウ編集部)
※ジャスティンとジャネットのスーパーボウルでのパフォーマンスについて加筆しました。