第93回アカデミー賞の授賞式の開催方針が一部変更。原則として参加者は全員来場・リモート参加は不可としたことへの反発に主催者が「妥協案」を提示した。(フロントロウ編集部)

アカデミー賞、「全員来場ルール」への批判に“妥協案”を示す

 アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーは、先日、プロデューサーによる連名のメールにより、4月25日(日本時間4月26日)に行なわれる第93回授賞式の開催方針やルールを候補者たちに一斉告知。

 パンデミック禍での開催となるものの、「世界中の何百万人もの映画ファンを楽しませるため」できるだけ例年に近い対人型のイベントにしたいという思いから、受賞者はメイン会場となる米ロサンゼルスのユニオン駅に来場することを原則とし、2020年3月以降に行なわれたほかのショービズ界で導入されたようなビデオ会議アプリのZoom(ズーム)を使ったリモート出演はNGとすると伝えた

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 しかし、各国で新型コロナウイルスの第4波への警戒が高まるなか、ロサンゼルス近辺在住ではない候補者たちが、どうしても現地入りしなくてはいけないというのは、少々厳しすぎるのではないかと不満や懸念が噴出。

 主催側がポリシーを緩めて、リモート参加を許可するのか否かに注目が集まるなか、米現地時間の3月30日に候補者らと行なったZoom会議のなかで、プロデューサーの1人であるスティーブン・ソダーバーグ監督が“妥協案”を提示した。


ヨーロッパに中継地を設ける

 The Hollywood Reporterによると、ソダーバーグ監督は、ロサンゼルスには来られないヨーロッパ在住もしくは滞在中の候補者たちのために、イギリス・ロンドンとフランス・パリに中継地を設けることを発表。

 しかし、やはり、安全に合法的に渡航できる参加者にはロサンゼルスの会場に駆けつけて欲しいと強調し、カリフォルニア州のルールに沿って隔離を行なう場合の滞在費等の経費は主催側が負担するとした。

 Zoom会議には、新型コロナウイルスの専門家であるマサチューセッツ大学ダートマス校のエリン・ブロマージュ博士も参加しており、「授賞式の会場には最新鋭の検査施設を建設しました」と、現地での感染拡大防止対策には万全を期していると補足した。


レッドカーペットはどうなる?

 候補者との質疑応答形式で進んだミーティングでは、レッドカーペットに関する質問も。

 ソダーバーグ監督は、「ユニオン駅の地面には、赤い物が敷かれます。ただ、これまでの伝統と同じではないでしょう。バーチャル・プレスルームも用意しています」と回答。従来のように、会場入りしたセレブたちがレッドカーペットで煌びやかな装いを披露しながら記念撮影をするという形式は、今回は実現しないかもしれないと示唆した。

画像: メイン会場となるユニオン駅。毎年会場となっているハリウッドのドルビー・シアターからも一部中継が行なわれる。

メイン会場となるユニオン駅。毎年会場となっているハリウッドのドルビー・シアターからも一部中継が行なわれる。

 「ステージに上がる時でも、マスクを着けていなくてはいけないのでしょうか? 」という質問には、「マスクは持参してください。まだ着用しなくてはなりません。今後、新たな情報が入り次第お伝えします。現時点では流動的です」と回答した。

 ちなみに前回の告知では、ドレスコードは「フォーマル」であり、「人々の心を揺さぶり、憧れを抱かせるような」服装をとのことで、カジュアルな装いはNGであると明記されていた。


Zoom参加はやはり避けたい

 どうしても会場に行けない場合は、Zoomを使ったリモート参加もできるのかという問いには、ソダーバーグ監督は笑いながら「Zワードを言ってしまいましたね? 我々としては、そうならないことを願っています」とコメント。

 自身を含む授賞式の制作チームは、可能な限り視覚的に素晴らしいセレモニーにするべく努めており、オープニングには「膝が崩れ落ちるような」仕掛けを用意していると豪語した。

画像: 2020年の授賞式の模様

2020年の授賞式の模様

 もう1人のプロデューサーであるジェシー・コリンズ氏は、「アカデミー賞は頂点なのです。世界で最も重要なライブイベントなのです。クリエイティブ面においても優秀でなくてはならないという期待を背負っています。その重要な部分を占めるのが、共同体としての部分なのです」と参加者が一堂に会することの大切さを力説した。(フロントロウ編集部)

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