世界各地にある複数の会場から中継
2021年のアカデミー賞授賞式は、これまで会場となってきたハリウッドのドルビー・シアターではなく、ロサンゼルス市内にあるユニオン駅をメイン会場として、観客数も170人程度に縮小して開催される。また、コロナ禍でアワードの“リモート開催”が定着するなか、アカデミー賞は原則としてリモートでの参加はNGとしており、出席者には会場に直接足を運ぶよう求めている。
メイン会場となるユニオン駅。
ドルビー・シアターからも一部中継が行なわれる予定で、どうしても現地入りすることができないヨーロッパ滞在中の候補者は、ロンドンとパリに設置される中継地点から式典に参加することになる。
授賞式後のアフターパーティー等の関連イベントは軒並み中止となっているが、授賞式前にユニオン駅の中庭で参加者を集めた約90分間のギャザリング（ミニ親睦会）が行なわれるので、「あの人とあの人って仲良かったんだ！」といった発見があるセレブ同士の交流も見られるかもしれない。
ちなみに、アカデミー賞よりひと足先に開催された音楽の祭典、グラミー賞の授賞式ではパフォーマンスを披露する時と、受賞スピーチを行なう時以外はマスクの着用が義務付けられていたが、米Varietyによると、アカデミー賞授賞式の参加者たちは“番組の出演者”とみなされるため、「カメラに映っている最中はマスクを着用する必要はない」という。
レカペでセレブが“魅せる”美しいドレス
映画界で最も権威ある賞と言われるアカデミー賞は、世界的にも関心が高いことから、出席するセレブも彼らに衣装を提供するブランドもいつも以上に気合いが入っている。とくに注目すべきは女性陣のドレス。コロナ禍ということで今年はレッドカーペットの実施が危ぶまれていたが、かなり規模を縮小して行なうことが決まっている。
第90回アカデミー賞授賞式のレッドカーペット。
ずばり第93回アカデミー賞のドレスコードは「フォーマル」。「人々の心を揺さぶり、憧れを抱かせるような服装」をとのことで、授賞式の結果とは別に“ファッションバトル”の勝敗の行方にもご注目。
監督賞にノミネートされた2名の女性
女性の怒りと復讐を描いた映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェネルと、車上生活を送る人たちにフォーカスした映画『ノマドランド』のクロエ・ジャオが監督賞にノミネートされているが、じつは同部門に複数の女性が同時にノミネートされるのは史上初めて。
エメラルド・フェネル監督（左）とクロエ・ジャオ監督（右）。
また、監督賞にノミネートを果たした史上初の有色人種の女性監督となったジャオ監督は、同部門のほかに作品賞、脚色賞、編集賞の計4部門でノミネートされており、この4部門というのも女性監督としては史上最多となる。
第82回アカデミー賞で、キャスリン・ビグローが映画『ハート・ロッカー』で女性として史上初の監督賞を受賞しているが、2人のうちどちらかが、そのあとに続くことになるかもしれない。
アジア系を含む有色人種の俳優が躍進
昨年はひとりしかいなかったが、今年は主演男優賞にチャドウィック・ボーズマン、主演女優賞にヴィオラ・デイヴィスとアンドラ・デイ、助演男優賞にダニエル・カルーヤとレスリー・オドム・Jr.、そしてラキース・スタンフィールドの計6人の黒人俳優が演技賞にノミネートされた。とくにヴィオラは黒人女性の最多ノミネート記録を更新。
リズ・アーメッド（左）は『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』、スティーブン・ユアン（右）は『ミナリ』でそれぞれ主演男優賞にノミネート。
また、助演女優賞にノミネートされた韓国人俳優のユン・ヨジョンに加え、アジア系アメリカ人として初めて主演男優賞にノミネートされたスティーブン・ユアンや、パキスタンの血をひく俳優として初めて演技賞にノミネートされたリズ・アーメッドなど、有色人種の俳優が大躍進を遂げた。白人優位とされてきた演技賞に、有色人種の俳優が9人もノミネートされるのは史上初ということもあり、受賞に期待がかかっている。
プレゼンターとして豪華セレブが登場
例年どおり、今年も豪華セレブがプレゼンターとして登場予定で、アンジェラ・バセット、ハル・ベリー、ポン・ジュノ、ドン・チードル、ブライアン・クランストン、ローラ・ダーン、ハリソン・フォード、レジーナ・キング、マーリー・マトリン、リタ・モレノ、ホアキン・フェニックス、リース・ウィザースプーン、レネー・ゼルウィガー、ゼンデイヤの登壇が事前に発表されている。
第92回アカデミー賞授賞式でパフォーマンスを披露するイディナ・メンゼル（左）と松たか子（右）。
また、主演女優賞にノミネートされているヴィオラ・デイヴィスと主演男優賞にノミネートされているリズ・アーメッドも、候補者としてではなく、プレゼンターとして何かしらのかたちで関わることになっているそう。
初めてづくしの第93回アカデミー賞。果たしてオスカー像は誰の手に？（フロントロウ編集部）
