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第93回アカデミー賞のノミネート作品&候補者が発表。最多ノミネートは映画『Mank/ マンク』。『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督、『プロミシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェネル監督が歴史を塗り替えた。そのほか多様性豊かな顔ぶれがノミネート。(フロントロウ編集部)

最多ノミネートは『Mank/マンク』

 映画界最高峰のアワードと言われるアカデミー賞の2021年のノミネーションが日本時間3月15日に発表された。

 通常、アカデミー賞にノミネートされるには、ロサンゼルス地域で最低7日間の放映が行なわれた作品でなければならないという条件があるけれど、本年度に限っては、パンデミックで劇場公開が中止となり、デジタル配信となった作品も選考の対象となるという特別ルールが設けられた。

 そんな異例の措置がとられたアカデミー賞で最多となる10部門にノミネートを果たしたのは“史上最高の映画”と呼ばれることもある1941年の名作『市民ケーン』の誕生秘話にスポットライトを当てた映画『Mank/ マンク』。

『Mank/ マンク』

 デヴィッド・フィンチャー監督が監督賞に、主演のゲイリー・オールドマンが主演男優賞、アマンダ・サイフリッドが助演女優賞にノミネートされたほか、作品賞、脚本賞などにノミネートを果たした。

 『Mank/ マンク』に次ぐ計6部門にノミネートを果たしたのが、企業の経済破綻の後、1台の車とともに現代の“ノマド(遊牧民)”として路上に出た、1人の女性が新たな希望を発見する『ノマドランド』。

画像: 『ノマドランド』©Cor Cordium Productions Hear Say Productions Highwayman Films Album Newscom

『ノマドランド』©Cor Cordium Productions Hear Say Productions Highwayman Films Album Newscom

 オスカー前哨戦と呼ばれるゴールデングローブ賞で作品賞と監督賞を受賞した同作は、期待通り、作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞という、主要5部門中4部門にノミネートを果たした。

 アーカンソー州に移り住んだ韓国系アメリカ人一家を描く作品『ミナリ』は、ゴールデングローブ賞では「セリフの50%以上が英語以外の作品は外国語映画賞にカテゴリーされる」というルールがあり、韓国語のセリフが多い『ミナリ』はアメリカ人が主人公の映画であるにもかかわらず、外国語映画賞にノミネートとなった。しかし、アカデミー賞では、国際映画として括られるのではなく、リー・アイザック・チョン監督が監督賞、主演のスティーヴン・ユァンが主演男優賞、ユン・ヨジョンが助演女優賞と主要部門を4部門を含む計6部門にノミネートされた。

画像: 『ミナリ』©A24

『ミナリ』©A24

 ちなみに、スティーヴンはアカデミー賞で主演男優賞にノミネートされた初のアジア系アメリカ人俳優となる。

 『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』、『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』、『シカゴ7裁判』、『ファーザー』も『ミナリ』と同じく計6部門にノミネート。接戦が繰り広げられる。

画像: 『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』©Warner Bros.

『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』©Warner Bros.

画像: 『ファーザー』©Sony Pictures Classic SplashNews

『ファーザー』©Sony Pictures Classic SplashNews

画像: 『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』©Amazon Studios/ SplashNews

『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』©Amazon Studios/ SplashNews

『シカゴ7裁判』


女性監督2名が監督賞にノミネート

 アカデミー賞の歴史上初めて、監督賞に女性2名がノミネート。『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督と『プロミシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェネル監督が、これまで圧倒的に男性優勢だった同部門の歴史を更新した。

画像: 左:クロエ・ジャオ、右:エメラルド・フェネル

左:クロエ・ジャオ、右:エメラルド・フェネル

 なお、ジャオ監督は同部門にノミネートを果たした史上初の有色人種の女性監督。さらに、作品賞、監督賞、脚色賞、編集賞の4部門でノミネートしており、この4部門というのも女性監督としては史上最多となる。

 女性の怒りと復讐を描いたフェネル監督の『プロミシング・ヤング・ウーマン』は計4部門にノミネートを果たした。

画像: 『プロミシング・ヤング・ウーマン』©FOCUS FEATURES  AlbumNewscom

『プロミシング・ヤング・ウーマン』©FOCUS FEATURES AlbumNewscom

以下、ノミネート作品の全リスト。

作品賞

『ファーザー』
『Mank/マンク』
『ノマドランド』
『シカゴ7裁判』
『プロミシング・ヤング・ウーマン』 
『ミナリ』
『ジューダス・アンド・ブラック・メサイア』
『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』

監督賞

トマス・ビンターベア『アナザー・ラウンド』
エメラルド・フェネル『プロミシング・ヤング・ウーマン』
クロエ・ジャオ(『ノマドランド』)
デヴィッド・フィンチャー(『Mank/マンク』)
リー・アイザック・チョン(『ミナリ』)

主演男優賞

リズ・アーメッド(『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』)
チャドウィック・ボーズマン(『マ・レイニーのブラックボトム』)
アンソニー・ホプキンス(『ファーザー』)
ゲイリー・オールドマン(『Mank/マンク』)
スティーヴン・ユァン(『ミナリ』)

主演女優賞

ヴィオラ・デイヴィス(『マ・レイニーのブラックボトム』)
キャリー・マリガン(『プロミッシング・ヤング・ウーマン』)
フランシス・マクドーマンド(『ノマドランド』)
アンドラ・デイ(『ユナイテッド・ステーツ vs ビリー・ホリデイ』)
ヴァネッサ・カービー(『私というパズル』)

助演男優賞

サシャ・バロン・コーエン(『シカゴ7裁判』)
ダニエル・カルーヤ(『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア(原題)』)
ポール・レイシー(『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』)
レスリー・オドム・Jr.(『あの夜、マイアミで』)
ラキース・スタンフィールド(『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア(原題)』

助演女優賞

グレン・クローズ(『ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌』)
オリヴィア・コールマン(『ファーザー』)
ユン・ヨジョン(『ミナリ』)
アマンダ・サイフリッド(『Mank/マンク』)
マリア・バカロワ(『続・ボラット』)

脚色賞

『ノマドランド』
『あの夜、マイアミで』
『ファーザー』
『ホワイト・タイガー』
『続・ボラット』

脚本賞

エメラルド・フェネル(『プロミシング・ヤング・ウーマン』)
ジャック・フィンチャー(『Mank/マンク』)
アーロン・ソーキン(『シカゴ7裁判』)
フローリアン・ゼレール&クリストファー・ハンプトン(『ファーザー』)
クロエ・ジャオ(『ノマドランド』)

長編アニメ映画賞

『2分の1の魔法』
『ソウルフル・ワールド』
『ウルフウォーカー』
『フェイフェイと月の冒険』
『ひつじのショーン UFOフィーバー!』

短編アニメ映画賞

『夢追いウサギ』
『愛してるって言っておくね』
『イエス・ピープル』
『オペラ』
『Genius Loci(原題)』

撮影賞

『Mank/ マンク』
『ノマドランド』
『この茫漠たる荒野で』
『シカゴ7裁判』
『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア』

衣装デザイン賞

アン・ロス(『マ・レイニーのブラックボトム』)
トリッシュ・サマービル(『Mank/マンク』)
アレクサンドラ・バーン(『エマ.』)
ビーナ・ダイグラー(『ムーラン』)
マッシモ・キャンティー二・パリ―二『ピノキオ』

長編ドキュメンタリー賞

『コレクティブ』
『タイム』
『ハンディキャップ・キャンプ:障がい者運動の夜明け』
『老人スパイ』
『オクトパスの神秘:海の賢者は語る』(My Octopus Teacher)

短編ドキュメンタリー賞

『Colette(原題)』
『A Concerto Is a Conversation(原題)』
『Do Not Split(原題)』
『Hunger Ward(原題)』
『ラターシャに捧ぐ ~記憶で綴る15年の生涯~』A Love Song for Latasha

短編実写映画賞

『Feeling Through(原題)』
『The Letter Room(原題)』
『プレゼント』
『Two Distant Strangers(原題)』
『白い自転車』

編集賞

『シカゴ7裁判』
『ノマドランド』
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
『ファーザー』
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ』

国際長編映画賞

『アナザー・ラウンド(英題)』(デンマーク)
『コレクティブ(英題)』(ルーマニア)
『Quo vadis, Aida?(原題)』(ボスニア・ヘルツェゴビナ)
『少年の君』(香港)
『ザ・マン・フー・ソールド・ヒズ・スキン(英題)』(チュニジア)

メイク・ヘアスタイリング賞

『エマ.』
『ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌』
『マ・レイニーのブラックボトム』
『Mank/ マンク』
『ピノキオ』

作曲賞

トレント・レズナー&アッティカス・ロス&ジョン・バティステ(『ソウルフル・ワールド』
トレント・レズナー&アッティカス・ロス(『Mank/ マンク』)
ジェームズ・ニュートン・ハワード(『この茫漠たる荒野で』』)
テレンス・ブランチャード(『ザ・ファイブ・ブラッズ』)
エミール・モッセーリ(『ミナリ』)

歌曲賞

「Speak Now」レスリー・オドム・Jr. (『あの夜、マイアミで』)
「Hear My Voice」セレステ(『シカゴ7裁判』)
「Io Si(Seen)」 ラウラ・パウジーニ(『これからの人生』)
「Fight for You」H.E.R. (『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア(原題)』)
「Husavik」(『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』)

美術賞

『Mank/ マンク』
『TENET テネット』
『この茫漠たる荒野で』
『マ・レイニーのブラックボトム』
『ファーザー』

音響編集賞

『グレイハウンド』
『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』
『ソウルフル・ワールド』
『Mank/マンク』
『この茫漠たる荒野で』

視覚効果賞

『TENET テネット』
『ミッドナイト・スカイ』
『ムーラン』
『ラブ・アンド・モンスターズ』
『ゴリラのアイヴァン』


 アメリカ映画の健全な発展を目的に、キャスト、スタッフを表彰し、その労と成果を讃えるための映画賞であり、別名“オスカー”の愛称で長きにわたって親しまれているアカデミー賞。

 第93回目を迎える今回の授賞式は、当初2月28日に行なわれる予定だったものの、新型コロナウイルスの影響により、例年よりも2カ月以上遅い米現地時間の4月25日(日本時間4月26日)に開催される。

 感染拡大防止のためのソーシャル・ディスタンスが続くなか、数々のアワードがリモート開催を余技なくされてきたが、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーは「参加者全員の健康と安全を第一に考えたうえで、他にはないオスカーを開催します」と宣言。「世界中の視聴者が見たがっている対面でのショーを作るために、パンデミックにおける条件を満たしたうえで、セレモニーはランドマークであるドルビー・シアターを含む複数の場所から中継放送されます」と、各地からの中継放送を行なうことを発表しており、もう1カ所の主要拠点にはロサンゼルスにある駅、ユニオン・ステーション(ユニオン駅)が選ばれたことが、ノミネーション発表と同時に明らかにされた。(フロントロウ編集部)

※『ノマドランド』のノミネート数は7部門ではなく正しくは6部門です。エメラルド・フェネル監督の姓を「フェンネル」と記載していましたが修正しました。短編アニメ部門の作品リストを追記しました。

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