アラナ・スミスはノンバイナリーの選手
![画像: アラナ・スミスはノンバイナリーの選手](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783100/rc/2021/07/27/cd520ec39f4a62bba568acbbf60d76e34af361f2_xlarge.jpg)
東京オリンピックのスケートボード競技にアメリカ代表として参加したアラナ・スミス(Alana Smith)は、女性・男性のどちらにも分類・限定されないノンバイナリーの選手。そんなスミス選手は、女性に対して使われるshe/herではなく、they/themというジェンダー代名詞を使っており、五輪で使用したスケートボードにもthey/themと描いている。
英語のジェンダー代名詞は、女性に使うsheや男性に使うheが一般的に知られているが、ジェンダーアイデンティティの多様化が進む現代にはスミス選手のように女性・男性に分類されない人も存在するため、they/themといった他のジェンダー代名詞を使う人が増えており、ホワイトハウスの公式サイトでも2021年からジェンダーの選択欄に「they/them」や「other」が追加された。
欧米では、正しいジェンダー代名詞を使うことは相手を正しい名前で呼ぶくらい大事という考えが少しずつ広がっており、メールの署名欄にジェンダー代名詞を記載する項目を追加する企業や、顧客に自己紹介するときに名前と一緒に自分のジェンダー代名詞を伝えるという企業も出てきている。
![画像: アラナ・スミスのスケートボードにはThey/Themという文字が。©︎Alana Smith/Instagram](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783100/rc/2021/07/27/844c1d9a3c1bf7fe395565a6a2f2717bef2494ee_xlarge.jpg)
アラナ・スミスのスケートボードにはThey/Themという文字が。©︎Alana Smith/Instagram
ノンバイナリーの選手のミスジェンダリングに指摘
そして今回、東京オリンピックの解説や記事でのミスジェンダリング(相手の誤ったジェンダーで呼ぶこと)がSNSを中心に批判されている。
![画像: ノンバイナリーの選手のミスジェンダリングに指摘](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783100/rc/2021/07/27/b95b1dc58d58a222c9203e1ba33697fc38653bad_xlarge.jpg)
イギリスのBBCでは、レポーターがスミス選手に対して「she/her」という間違ったジェンダー代名詞を使用。来日しているBBC Sportsのレポーターであるティム・ワーウッドは、「コメントしているのは私ではありませんでした。当然ですが、彼らはアラナに謝罪すると思います。私はジェンダーについて(の情報を)目にしたことがなかったので、彼らも100%見ていないと思います。だからこそのミスです」と、ミスジェンダリングは理解やリスペクトの欠如ではなく情報の欠如だったとツイッターで語った。
It wasn’t myself commentating. I’m sure the boys would of course apologise to Alana. I hadn’t seen anything regarding gender and I’m 100% sure they hadn’t either. Hence the mistake.
— TIM WARWOOD (@Tim_Warwood) July 26, 2021
アメリカのNBCでは、スミス選手がノンバイナリーであることを解説者が紹介したうえで、「she」という間違ったジェンダー代名詞を使用。NBCではサイトの記事でもスミス選手をミスジェンダリングしており、ツイッターで「記事を更新してください! アラナのジェンダー代名詞はthey/themで、she/herではありません」と指摘を受けると、記事を執筆した、NBC 5 Todayのキャスターであるローラ・ハリスが「こちらの件、対応中です。ありがとうございます」と返答して修正が行なわれた。
we are currently working on this. thank you
— ����� �. ������ (@LauraHarrisNBC5) July 26, 2021
ツイッターでは、選手それぞれのジェンダー代名詞をレポーターが知るよしもないと擁護する声もあれば、日本の組織委員会がレポーターたちに正しいジェンダー代名詞を伝えているのかという声、そこまで細かく気をつかうべきなのかという声や、世界を舞台にしたオリンピックで間違った呼ばれ方をするのは嫌なはずなどと、さまざまな声が挙がっている。
議論の行方はどうあれ、スミス選手のようなアスリートがオリンピックという大舞台で自身のアイデンティティをオープンにしてプレイしていることは、ノンバイナリーやジェンダー代名詞といったことの存在を見える化して、同じ境遇にいる人にとっての素晴らしいレプリゼンテーションになっていることは間違いない。(フロントロウ編集部)