映画『Rust(原題)』の撮影現場で起きた銃誤射事故をめぐって、関係者から驚きの証言が出てきた。(フロントロウ編集部)

事故前から安全性を懸念する声があった

 現地時間10月21日、米ニューメキシコ州で撮影中だった映画『Rust』のセットで、撮影監督のアリナ・ハッチンスが小道具の銃の誤射によって亡くなる事故があった。この事故でジョエル・ソウザ監督も負傷し病院に搬送されたが、現在は回復している。公開された裁判資料や捜査令状によると、銃に弾が装填されていることを知らずに撃った主演俳優のアレック・ボールドウィンは、事前に助監督から“安全だ”と伝えられていたそうで、アレックに銃を渡した助監督やキャストに銃器の安全な取り扱いを指導する武器係(アーマラー)の確認不足が事故の原因と見られている。

 米The New York Timesによると、事故発生の約5日前に少なくとも2度、銃の誤射があり、一部のスタッフから安全性を懸念する声があがっていたという。通常、映画の撮影現場で銃器が暴発したら、まずその銃器が欠陥品なのか、誤った取り扱いをしたのか、直ちに調査が行なわれ、誤操作と判断された場合には銃器の使用が禁止されることもある。

 『Rust』の現場でもそういった調査が行われたのかは不明だが、事故5日前の誤射はセットとして使われていた小屋のなかで起きたそうで、亡くなったアリナもそのとき小屋のなかにいたと元スタッフはNew York Timesに証言している。ただし、アレックを含む本作のプロデューサーたちは、事故後に発表した声明のなかで、“安全上の問題については知らされていない”と主張している。

画像: 映画『Rust』のセット。現在、撮影は中断されており、事故現場を含む辺り一帯封鎖されている。

映画『Rust』のセット。現在、撮影は中断されており、事故現場を含む辺り一帯封鎖されている。

 また、それとは別に『Rust』の撮影現場では、時間外労働や給料の未払いなどの労働条件に対する不満から、複数のスタッフが誤射事故が起きる数時間前に辞めるという騒動も起きている。今回、「事故前にも誤射があった」と告発した元スタッフ3名は、その騒動で現場を去ったスタッフだという。

 ちなみに、銃誤射による死亡事故を受けて、ドラマ『ザ・ルーキー 40歳の新米ポリス!?』は、キャストとスタッフの安全を考慮して「実際の武器の使用を全面的に禁止する」という、撮影現場での銃の使用に関する新しいポリシーを発表している。今後、銃撃シーンはすべてエアソフトガンを使用し、あとからCGでマズルフラッシュ(銃口の火花)を追加するという措置を取るそう。(フロントロウ編集部)

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