「子供用ハーネス」は子供の安全を守るもの
子供の急な飛び出しや迷子になるのを防ぐ「子ども用ハーネス」の使用をめぐって、日本で今、賛否両論が巻き起こっているが、愛する我が子の安全を守るためにそれを使用する母親を批判するのはマミー・シェイミング(母親批判)にあたる。
犬のリードを彷彿とさせることから拒否反応を示す人もいるようだが、最近ではぬいぐるみリュックに紐が付いた可愛らしいデザインのものも販売されており、子供用ハーネスに“助けられた”という親も多い。
ちなみに、海外でも子供用ハーネスの使用には賛否の声があり、2017年、子供用ハーネスを着けて外を歩く娘の写真をフェイスブックの投稿した父親が、見知らぬ大勢の人たちからバッシングを受けるという出来事があった。
この件はメディアにも大きく取り上げられ、父親の「娘はものすごくやんちゃだけど、これ(子供用ハーネス)のおかげで道路に出ることもなく、アイスクリーム製造機に手を突っ込むこともなく、私の正気も保たれています。もし遊園地や動物園、混雑したショッピングモール、ファーマーズマーケットでこれを着けていなかったら、間違いなく迷子になっていたでしょう。(中略)彼女は信じられないほど好奇心旺盛で、30センチくらいの歩幅しかないのに、オリンピック選手よりも速く動きます。『私は完ぺきな親で、これだからお前はダメなんだ』というお叱りの言葉を頂くかもしれません。そんなあなたに私はこう言います。『私は自分の心の余裕を保ちながら、この子の安全を守っています。それは100%価値のあることです』」というメッセージに、同じ年頃の子を持つ親たちから共感のコメントが多数寄せられた。
マミー・シェイミングとは?
マミー・シェイミングとは、自分のやり方と違うことを理由にほかの母親の子育ての選択を批判したり見下したりすることで、“自分が正しい”との思い込みから意図せずやってしまうことも多い。出産後の体形に関する議論や母乳育児をするか否かの判断、仕事と家庭の両立、子供の成長の比較など、マミー・シェイミングはさまざまなところに潜んでいる。
ダディ・シェイミング(父親批判)も存在するが、仮に母親と父親が同じことをしたとして、母親だけ批判されることのほうが圧倒的に多い。実際、過去にモデルのクリッシー・テイゲンと夫でシンガーのジョン・レジェンドが子供を家に置いて夫婦2人きりでディナーに出かけた際も、クリッシーにばかり批判するコメントが相次ぎ、のちにジョンが「みんなクリッシーが家を留守にしたことを非難したけど、僕のことを悪く言う人はひとりもいなかった。僕たちは2人とも親で、2人で出かけたんだ。そもそも、(子供抜きで出かけるのが)ダメだと思うこと自体が間違ってると思うけど、それが不適切なことで誰か責める必要があるなら、母親だけでなく、僕たち2人を責めるべきだ」と矛盾を指摘していた。
マミー・シェイミングの餌食になったセレブは数知れず
パパラッチに写真を撮られたり、あるいはSNSで自ら発信したり、その一挙手一投足がつねに注目されるセレブはマミー・シェイミングの餌食になりやすい。これまでにマミー・シェイミングの被害にあったセレブは数知れず、最近だと新米ママでモデルのエミリー・ラタコウスキーが子供の抱き方などをめぐって批判されたことが記憶に新しい。
このときエミリーは、「私のもとに寄せられるコメントは、私には母親になる資格が無いといったヒドいものばかり。恥を知りなよ。あなたが私のことを嫌いだろうが、セレブ全般や女性そのものを嫌いだろうが、私の知ったことじゃない。でも、人の親になるというのは、すごく怖いこと。誰だって、他人にダメな母親だなんて言われる筋合いはない」と、自分に心ない言葉を浴びせた人たちに対して反論している。
また、何かにつけてマミー・シェイミングの標的にされるクリッシーは、「私がこれから言うことを、あなたたちはこれを大ゴトにするだろうけど、言うね。乳幼児用ミルク=普通にするべき。(中略)代理出産の人もいれば、母乳が出ない人もいるなかで、不安を抱えた新米ママが聞くのは、どれだけ母乳がベストかってこと。“母乳は普通”は素晴らしい。そして“乳幼児用ミルクは普通”も同じく素晴らしいこと!それだけ言いたかったの!乳幼児用ミルクは普通のこと!」と、母乳育児をしない母親を“悪”とする風潮にメスを入れたことがある。(フロントロウ編集部)