日本映画から初のオスカー作品賞!西島秀俊主演『ドライブ・マイ・カー』
映画『偶然と想像』や『寝ても覚めても』などで知られる濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』が第94回アカデミー賞国際長編映画賞のほか、作品賞、監督賞、脚色賞にノミネートされ、大きな話題となっている。日本映画がアカデミー賞作品賞にノミネートされるのは、史上初。
【STORY】
俳優であり演出家の家福は、愛する妻と満ち足りた日々を送っていた。しかし、妻は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう。2年後、演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。行き場のない喪失感を抱えて生きる家福は、みさきと過ごすなかであることに気づかされていく。
本作は、世界でも人気の高い作家、村上春樹の同名小説を原作にした映画。主演は西島秀俊が務め、三浦透子、岡田将生、霧島れいかなど、実力派俳優が集結した。
また、アカデミー賞以外の海外の映画祭でも高評価で迎えられており、すでに第74回カンヌ国際映画祭にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞、ニューヨーク映画批評家協会賞作品賞、ボストン映画批評家協会賞にて西島秀俊の最優秀男優賞を含む4冠、米批評家協会賞では作品賞とアジア初・主演男優賞を含む主要4部門での受賞と、50以上の賞を受賞している。
『ドライブ・マイ・カー』、海外メディアの感想は?
米批評サイトRotten Tomatoesでは、作品賞で競合となる映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』や『ウエスト・サイド・ストーリー』を抜き、98%という最も高い評価を得ている『ドライブ・マイ・カー』。
とはいえ、実際にどのような声が上がっているのは気になるところ。フロントロウ編集部では、アメリカを含む各国の大手メディアが出している『ドライブ・マイ・カー』のレビューをまとめてご紹介。
『ドライブ・マイ・カー』レビューまとめ
夢中になれる、高揚感のある体験。
Peter Bradshaw(Guardian(イギリス))
その長さには圧倒されるが、セクシーさと思慮深さを兼ね備えた、徹底的に夢中になれるアートだった。
Esther Zuckerman(Thrillist)
この映画は暴風雨のように優しい。すべてが終わったあと、アイデアが落ち着くのを待ってから、初めてその全貌が明らかになる。
Stephanie Zacharek(TIME Magazine)
この作品は、しばしばあいまいな意味で使われる「傑作」という言葉で完璧に集約できる。謎めいた魅惑に満ちたこの作品は、どこに向かうのかと見るものの興味をひき立て、その後、驚くほど明快にその本質を明らかにしてくれる。
Joe Morgenstern(Wall Street Journal)
ムードと瞑想の完璧な融合。
Shubhra Gupta(The Indian Express(インド))
聞いたこともない最高の映画がこれ。日本が生んだ傑作であり、アカデミー賞国際長編映画賞を受賞する最有力候補であり、『パラサイト 半地下の家族』のように作品賞を争うかもしれない。それもありでは?ファーストシーンからラストシーンまで心を奪われる。
Peter Travers(ABC News)
濱口は、目の前の役と折り合いをつけ、それを全力で演じるという、深い美しさを持った映画を作った。
Robbie Collin(Daily Telegraph(イギリス))
大きな喪失感の中で、行き詰まりを感じている人。そういう人は、『ドライブ・マイ・カー』に出会うことで、もう一度前に進む力が湧いてくるかもしれない。しばらく私の心に残るであろう、驚くべき作品だ。
Darryl Griffiths(Movie Marker)
野心的でありながら静かな自信に満ちた濱口監督の映画は、絶対的な楽しみを感じさせてくれる。
Jason Gorber(Slashfilm)
『ドライブ・マイ・カー』は、複雑な物語と同じくらいわかりやすいビジュアルで、あなたに忍び寄り、誘い込む。
Manohla Dargis(New York Times)
濱口竜介の映画は、わずかな原稿からあらゆる種類の予期せぬ方向へ進んでいく。しかし、そのような小さなディテールの重みを理解しているからこそ、成功を収めることができた。
David Sims(The Atlantic)
全世界のような広がりが感じられる。
Michael O'Sullivan(Washington Post)
『ドライブ・マイ・カー』は、感情を処理する手段としても、逸らす手段としても、ストーリーテリングの両刃の性質を効果的に捉えている…。
Vikram Murthi(AV Club)
西島(秀俊)と三浦(透子)の演技は全体的に素晴らしいが、西島と三浦は本当によくつながっており、この3時間の旅を価値あるものにしている。
Pete Hammond(Deadline Hollywood Daily)
濱口は原作とは逆の方向からこのアイデアに取り組んでいるかもしれないが、その違いこそが、『ドライブ・マイ・カー』が傑作の境地まで誠実に到達することを可能にしているのだ。
David Ehrlich(indieWire)
著者(村上春樹)特有のスタイルで、無駄のない文章の中に非常に多くのことを詰め込んでいる。
Guy Lodge(Variety)
詩的な深みと小説的な野心を持った、吸収力のある、技術的に保証された作品。
Stephen Dalton(Hollywood Reporter)
これは濱口竜介の最高に自信に満ちた映画作りである。しかし、3時間という長さと、チェーホフ感が強かった後半には、適切な思考が必要であることは確かだ。
Wendy Ide(Observer(イギリス))
西島秀俊の芸術的映像は、ゴミ捨て場への旅を詩的に見せてくれる。また、出演者全員が素晴らしい。
Tara Brady(Irish Times(アイルランド))
濱口は、何をどういったか、何をどう黙っていたかに同じ重要性を与えている。
Daniel de Partearroyo(Cinemanía(スペイン))
(フロントロウ編集部)