最多ノミネートはNetflix映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
現地時間2022年2月8日、第94回アカデミー賞のノミネート作品が発表された。アカデミー賞のノミネートに投票できるアカデミー会員は世界中に9787名おり、今年の投票率は過去最多になったという。ちなみにノミネート権があるのは、2021年3月1日から12月31日に公開された映画。
そんなノミネート作品で最多11部門12ノミネートを果たしたのは、ジェーン・カンピオン監督によるベネディクト・カンバーバッチ主演のNetflix映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』。作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞という主要部門のほか、脚色賞、美術賞、撮影賞、編集賞、音響賞、作曲賞に名を連ねた。本作は他の映画祭でもかなり高い評価を受けているため、ハリウッドの大本命と言っても過言ではない。
これに続くのは、10部門にノミネートを果たした『DUNE/デューン 砂の惑星』。続けて、7部門の『ウエスト・サイド・ストーリー』と『ベルファスト』。そのほか『ドリームプラン』は6部門、『ナイトメア・アリー』と『ドント・ルック・アップ』は4部門にノミネートした。
また、日本からは濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が国際長編映画賞のほか、作品賞、監督賞、脚色賞にノミネート。アカデミー賞で日本映画が作品賞にノミネートされるのは、史上初のこと。
レディー・ガガはノミネートならず!ノミネートのサプライズは?
映画『ハウス・オブ・グッチ』でアカデミー賞確実と言われていたレディー・ガガはまさかのノミネートならず。一方で、映画『スペンサー ダイアナの決意』でダイアナ妃を熱演したクリステン・スチュワートがノミネート。本作は“クリステンのキャリア史上最高の演技”とも言われており、日本では2022年秋に公開予定。
さらに、リン=マニュエル・ミランダが監督を務めたミュージカル映画『Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!』のアンドリュー・ガーフィールドが主演男優賞にノミネートされたこともサプライズのひとつ。同作でアンドリューは魂の演技を披露。他の競合を押しのけ、見事主演男優賞を勝ち取ることはできるのか。
そんな中、批評家の間では映画『ロスト・ドーター』や『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』など、興行収入が高く高評価の作品のノミネートが予想されていたが、残念ながらノミネートとはならず、代わりに大穴だったギレルモ・デル・トロ監督の『ナイトメア・アリー』が作品賞にノミネートされ、大きなサプライズとなった。
また、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオン監督は1993年の映画『ピアノ・レッスン』以来の監督賞ノミネート。アカデミー賞史上、女性が監督賞に2度ノミネートを果たすのは、カンピオン監督が初めて。受賞すれば、女性として史上3人目の監督賞受賞者となる。
ちなみに94年の歴史を持つアカデミー賞で監督賞にノミネートされた女性監督は8人。昨年開催された第93回アカデミー賞でクロエ・ジャオ監督とエメラルド・フェネル監督がノミネートされるまでは、たったの5名しかいなかった。
以下、全ノミネートのリストはこちら。
作品賞
『ベルファスト』
『コーダ あいのうた』
『ドント・ルック・アップ』
『ドライブ・マイ・カー』
『DUNE/デューン 砂の惑星』
『ドリームプラン』
『リコリス・ピザ』
『ナイトメア・アリー』
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
『ウエスト・サイド・ストーリー』
監督賞
ケネス・ブラナー『ベルファスト』
濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』
ポール・トーマス・アンダーソン『リコリス・ピザ』
ジェーン・カンピオン『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
スティーヴン・スピルバーグ『ウエスト・サイド・ストーリー』
主演女優賞
ジェシカ・チャステイン『タミー・フェイの瞳』
オリヴィア・コールマン 『ロスト・ドーター』
ペネロペ・クルス『PARALLEL MOTHERS』
ニコール・キッドマン 『愛すべき夫妻の秘密』
クリステン・スチュワート『スペンサー』
主演男優賞
ハビエル・バルデム 『愛すべき夫妻の秘密』
ベネディクト・カンバーバッチ 『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
アンドリュー・ガーフィールド 『tick, tick... Boom! チック、チック…ブーン!』
ウィル・スミス 『ドリームプラン』
デンゼル・ワシントン『マクベス』
助演女優賞
ジェシー・バックリー『ロスト・ドーター』
アリアナ・デボーズ 『ウエスト・サイド・ストーリー』
ジュディ・デンチ『ベルファスト』
キルスティン・ダンスト 『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
アーンジャニュー・エリス 『ドリームプラン』
助演男優賞
キアラン・ハインズ『ベルファスト』
トロイ・コッツァー『コーダ あいのうた』
ジェシー・プレモンス『パワー・オブ・ザ・ドック』
J・K・シモンズ『愛すべき夫妻の秘密』
コディ・スミット=マクフィー『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
オリジナル脚本賞
『ベルファスト』
『ドント・ルック・アップ』
『ドリームプラン』
『リコリス・ピザ』
『The Worst Person in the World』(英題)
脚色賞
『コーダ あいのうた』
『ドライブ・マイ・カー』
『DUNE/デューン 砂の惑星』
『ロスト・ドーター』
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
国際長編映画賞
『ドライブ・マイ・カー』(日本)
『Flee』(デンマーク)
『Hand of God -神の手が触れた日-』(イタリア)
『ブータン 山の教室』(ブータン)
『The Worst Person in the World』(ノルウェー)
長編アニメーション映画賞
『ミラベルと魔法だらけの家』
『Flee』(英題)
『あの夏のルカ』
『ミッチェル家とマシンの反乱』
『ラーヤと龍の王国』
作曲賞
『ドント・ルック・アップ』
『DUNE/デューン 砂の惑星』
『ミラベルと魔法だらけの家』
『PARALLEL MOTHERS』
『パワー・オブ・ザ・ドック』
歌曲賞
「Be Alive」『ドリーンプラン』
「Dos Oruguitas」『ミラベルと魔法だらけの家』
「Down to Joy」『ベルファスト』
「No Time to Die」『007/ノータイム・トゥ・ダイ』
「Somehow You Do」『Four Good Days』
撮影賞
『DUNE/デューン 砂の惑星』
『ナイトメア・アリー』
『パワー・オブ・ザ・ドック』
『マクベス』
『ウエスト・サイド・ストーリー』
編集賞
『ドント・ルック・アップ』
『DUNE/デューン 砂の惑星』
『ドリームプラン』
『パワー・オブ・ザ・ドック』
『tick,tick... Boom! チック、チック…ブーン!』
美術賞
『DUNE/デューン 砂の惑星』
『ナイトメア・アリー』
『パワー・オブ・ザ・ドック』
『マクベス』
『ウエスト・サイド・ストーリー』
衣装デザイン賞
『クルエラ』
『シラノ』
『DUNE/デューン 砂の惑星』
『ナイトメア・アリー』
『ウエスト・サイド・ストーリー』
メイクアップ&ヘアスタイリング賞
『星の王子ニューヨークへ行く2』
『クルエラ』
『DUNE/デューン 砂の惑星』
『タミー・フェイの瞳』
『ハウス・オブ・グッチ』
音響賞
『ベルファスト』
『DUNE/デューン 砂の惑星』
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
『パワー・オブ・ドッグ』
『ウエスト・サイド・ストーリー』
視覚効果賞
『DUNE/デューン 砂の惑星』
『フリーガイ』
『007/ノータイム・トゥ・ダイ』
『シャン・チー テン・リングスの伝説』
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
長編ドキュメンタリー賞
『Ascension』
『Attica』
『Flee』
『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』
『燃え上がる記者たち』
短編ドキュメンタリー賞
『オーディブル:鼓動を響かせて』
『私の帰る場所』
『The Queen of Basket ball』
『ベナジルに捧げる3つの歌』
『When We Were Bullies』
短編アニメーション映画賞
『Affairs ofthe Art』
『Bestia』
『ボクシングバレー』
『ことりのロビン』
『The Windshield Wiper』
短編実写賞
『Ala Kachuu-Take and Run』
『The Dress』
『The Long Goodbye』
『On My Mind』
『Please Hold』
(フロントロウ編集部)