『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオン監督が、遂にアカデミー賞監督賞を受賞した。(フロントロウ編集部)

ジェーン・カンピオン監督が監督賞に輝く

 第94回アカデミー賞で、映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオン監督が遂に監督賞を受賞した。女性監督が監督賞に2度ノミネートされるのは史上初のことだった。

 監督賞はこれまでに女性監督のノミネートが7名、受賞が2名だけであり、ハリウッドにおける女性の労働環境の様々な問題を示している。そんななかでも、何十年と道を切り開いてきたカンピオン監督は、今年で68歳。1993年公開の『ピアノ・レッスン』で監督賞にノミネートされた経歴を持つが、受賞には至っていなかった。『ピアノ・レッスン』は第66回アカデミー賞で脚本賞、主演女優賞、助演女優賞を受賞している。

 そんな監督が、ついに監督賞を受賞したことには、多くの賛辞があがっている。また、昨年2021年の第93回アカデミー賞で監督賞を受賞したのは、『ノマンドランド』のクロエ・ジャオ監督であり、女性監督が2年連続で受賞する歴史的出来事となった。

 “3人目”、“2年連続”といった言葉を聞くと、女性監督の受賞が充分に多くなってきた錯覚を覚える人もいるかもしれないが、アカデミー賞において男性監督は2010年まで81年連続、2011年から2021年まで10年連続で受賞してきたことを考えると、まだまだであることは認識すべき点。

画像: ジェーン・カンピオン監督が監督賞に輝く

 カンピオン監督は受賞スピーチで、原作者であるトーマス・サヴェージについて、「この男性に会わなければ実現不可能でした。トーマス・サヴェージ。彼は残忍さと、それと対になるもの…、優しさを欲しがることについて書きました」と、彼の物語に敬意を払い、続けて、監督という仕事への愛を言葉にした。

 「物事を表現することは大変ではありますが、物語に没入できるので監督業を愛しています」

 ちなみに、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』からは撮影監督のアリ・ウェグナーが、女性として史上2人目の撮影賞ノミネートを果たしていたが、残念ながら受賞はならず。撮影賞は、アカデミー賞94年の歴史のなかで唯一女性の受賞が1度もない部門となっており、こちらの今後にも注目が集まる。

(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.