トム・フォード、メットガラに厳しい意見
ファッション界で最も注目を集めるイベントであるメットガラ。毎年5月の第1月曜日にニューヨークのメトロポリタン美術館で行なわれる米VOGUE主催の同チャリティイベントは、今年は日本時間5月3日に催される。
その年ごとのテーマに合わせ、人気セレブたちがここぞとばかりに豪華絢爛な着こなしを披露することで知られるメットガラは、これまでアイコニックなルックをたくさん輩出。息をのむような美しいドレスから、思わず二度見してしまうような奇想天外な衣装まで、世界中の人々を楽しませてきた。
そんなメットガラについて、自身の名を冠したブランドのほか、グッチやイヴ・サン・ローランのクリエイティブディレクターとして活躍した経歴も持つデザイナーのトム・フォードが、辛口な意見を述べた。
奇抜なルックでおなじみの“あのセレブ”を槍玉に
米TIME誌が掲載した、作家エイミー・オデルによる米VOGUEの名物編集長アナ・ウィンターの伝記本『Anna: The Biography(原題)』の抜粋によると、トムはメットガラは昔よりも格式が下がってしまったと感じているよう。
エイミーとのインタビューで、近年のメットガラについて「単なる仮装パーティーになってしまいましたよね。以前はとてもシックな人たちがとても美しい服を着て18世紀に関するエキシビジョンに行くというイベントだったのに」とコメントしたトムは、「18世紀そのものの格好をする必要はありませんでしたが、ハンバーガーの衣装を着たり、シャンデリアを着ているからと言ってワゴン車に立ったまま乗って会場に到着したりする必要はありませんでした」と皮肉たっぷりに続けた。
もうお気づきの人もいるかもしれないが、「ハンバーガー」や「シャンデリア」の衣装でメットガラに参戦した人物といえば、シンガーのケイティ・ペリー!
トムはケイティの名前を挙げたわけではないが、メットガラ・ウォッチャーなら誰でもわかる言い回しで、メットガラをディスった。
ちなみに、名誉のために言っておくと、ケイティはハンバーガーの格好でレッドカーペットに立ったわけではなく、シャンデリアから“お色直し”して美術館内部でのパーティーに出席した。
メットガラ嫌いなセレブたち
メットガラに関してネガティブな意見を口にした著名人は、アメリカ・ファッション・デザイナー協議会(CFDA)の議長を務めるトムだけでなく、じつは過去に何人もいる。
映画『アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング』のエイミー・シューマーは、メットガラの出席者たちは「会話をしているフリをしているだけ…。みんなクソ野郎の集まりみたいな恰好をしているし。私はあの茶番が好きではありません」とラジオ番組『Howard Stern Show』 でコメント。
「私はファッションには興味がないので、指定されていた時間よりも早く帰りました。ビヨンセに遭遇して『今回が初めてのメットガラですか?』と聞かれたけど、『これが(最初で)最後です!』と言ってしまいました」とコメディエンヌらしいダークユーモアを展開した。
シンガーのゼイン・マリクは当時交際中だったモデルのジジ・ハディッドと一緒に2016年のメットガラに出席し、麗しいカップルルックが話題をさらった。しかし、ゼインがメットガラに顔を出すのはこれが最初で最後ということのよう。
米GQとのインタビューで、メットガラに参加するくらいなら「とんでもなく高い服を着てレッドカーペットで写真を撮られるより、家でまったりするか、何か生産的なことをしているほうがマシですね。“ほら、私を見て!レッドカーペットで素晴らしいでしょ”なんて自己陶酔するのは、キャラじゃないですから」と二度と行くつもりはないと示唆した。
2016年のメットガラに参加したシンガーのデミ・ロヴァートは、あるセレブに嫌な思いをさせられたことを明かしながら、内部では仲良しグループができていて、とても排他的な雰囲気だったと米Billboardに体験談を明かしている。
禁酒中だったデミは、メットガラの会場から衣装だけ着替えて、そのままアルコール依存者更生会のミーティングに参加したそうで、「メットガラの会場にいたフェイクでファッション界に媚びへつらっている人たちよりも、禁酒会で会ったホームレスの人たちのほうがよっぽど親近感を持てました」とも話している。
参加できることを栄誉だと考え、全力でファッションに取り組むセレブたちもいれば、その場の雰囲気に馴染めず、居心地が悪く感じるセレブもいるメットガラ。
トムは“昔のほうが良かった”と私見を述べているが、内部事情はどうであれ、毎年レベルアップしている奇抜で煌びやかなセレブたちの着こなしは、一般ウォッチャーから見たらエンターテイメントの一種だが…?
ちなみに、トムに狙い撃ちにされてしまったケイティは、米Paige Sixに「私といえば、クレイジーでいかれた、ワイルドで盛大で、オモシロくてカラフルなルックを披露してきたことで知られていると思うけど、今回はこれまでとは完全に違った感じでいってみます」とコメントしており、それはそれで楽しみ!
2022年のメットガラは2021年からの2部制となっており、前回のテーマだった「In America: A Lexicon of Fashion(イン・アメリカ:アメリカのファッション辞典)」を引き継ぐように、「In America: Anthology of Fashion(イン・アメリカ:アメリカのファッションのアンソロジー)」がテーマとなる。一体どんなルックが拝めるのか、期待! (フロントロウ編集部)