『フォー・ウェディング』などで知られる俳優のアンディ・マクダウェルが、ドナルド・トランプの発言が原因で、男性ばかりの職場でパニック発作を起こした経験を明かした。(フロントロウ編集部)

政治家の性差別発言は女性の日常をむしばむ

 映画『フォー・ウェディング』などへの出演で知られ、俳優として活躍するマーガレット・クアリーを娘に持つアンディ・マクダウェルが、2016年に問題となったドナルド・トランプ氏による女性への加害発言が原因でパニック発作を起こしていたことを明かした。

 トランプ氏の発言とは、2005年に彼が昼ドラの『Days of Our Lives(原題)』にゲスト出演する前に録音されたもので、2016年10月に米Washington Postによって明らかにされた。この時彼は、有名スターならば女性の意思を考えずにただキスをすれば良い、スターならなんでもできる、女性器を掴めば良いと話していた。

 アメリカではその約1カ月後の11月に大統領選挙が実施され、こういった発言が多数あるにもかかわらず、彼は当選。そしてアンディはその直後に参加した撮影で、男性ばかりの現場だったことが原因でパニック発作を起こしたという。米Marie Claireのインタビューで振り返った。

 「トランプが当選した直後に、クレイジーな経験をしました。誰もあの女性器に関するコメントについて気にしていない様子に、非常に動揺していて、とても悲しくなった。そんななか仕事に行き、1日だけの仕事でしたが、初めてパニック発作が起きました。ある撮影の準備をしていたのですが、振り返ったら、部屋いっぱいに男性がいたんです。男性の海ですよ。それによってある個人的なことがフラッシュバックして、膝から崩れ落ちた。部屋を出て、セットに作られたフェイクのトイレの中に入って、鏡に映る自分を見て、『しっかりしな』と言いました。他に誰も女性がいないことは、ただただ恐怖だったんです。
 私は男性に反対しているわけではありません。そうではない!大きなグループの男性たちが好きではないんです。それ以来、セットで回りを見渡し、意識的に女性を見つけようとするようになりました。安心するために」

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 今年で64歳となったアンディは、2016年には56歳。彼女はそれまでにも様々な作品に出演してきており、スティーブン・ソダーバーグ監督による『セックスと嘘とビデオテープ』は代表作。また、映像制作現場の問題として“男性ばかり”というのは長年存在した。何十年というキャリアを持つアンディにとって、2016年の現場が初めての“男性ばかり”だったとは考えづらく、そんな彼女であっても政治家の発言によって初めてパニック発作を起こすほどの状況に追い込まれた。彼女の経験からは、政治家は一般人ではなく、その発言は国全体に影響を及ぼすことや、そのため、その人格と発言には大きな責任が伴うことが理解される。

 映像制作の現場で何十年にわたって仕事をしてきた女性俳優たちで、男性ばかりの撮影現場について苦言を呈したのはアンディだけではない。

 映画『氷の微笑』で知られ、アンディと同い年のシャロン・ストーンは過去に、「数百人の男性がいる撮影現場で、私がたった1人の女性になることは多かった。数百人の男性と私。私が働き始めた頃には、料理のケータリング屋でさえ女性がいることはなかった。私のメイク担当もヘア担当も、男性だった。撮影現場にいるたった1人の女性、たった1人の裸の女性であることがどんな感じか想像できる?」と、鳥肌が立つような苦しい思いを吐露していた。

 また、2人の9歳年下で、撮影現場では裏方の写真を撮るようにしているというケイト・ブランシェットは、キャリアを積んで20年が経った時でも、自分が「35人の男性の中にいるたった1人の女性」であることに気がつき、「これを20年もやってきた。なのにこの構造はまだ変わっていない」と思ったことを明かしている。

 一方でケイトは、2017年にハリウッドから発生したMeToo運動を機に女性スタッフの数が非常に多くなってきたとコメント。それはアンディも感じていることのようで、「MeTooで興味深いことになっています。セットにおける違いが分かります。より多くの女性がいますから」と話した。

(フロントロウ編集部)

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