『トップガン マーヴェリック』復活を熱望されたヴァル・キルマー
空を駆け抜けるアメリカ海軍のパイロットたちがふたたび。36年ぶりの新作『トップガン マーヴェリック』が世界を熱狂させている。トム・クルーズがマーヴェリックを再演し、今度は教官として次世代のパイロットたちと関わるなかで、ミッション追行のための挑戦、そして過去との対峙が迫られる。
作中ではトムだけでなく、アイスマン役のヴァル・キルマーも同役でふたたび姿を見せたことも、本作が1986年の大ヒット作の続編であり、マーヴェリックが抱える過去を思い出させるためのキーの1つとなった。プロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーは過去に、トムこそがヴァルの復帰を強く望んだ張本人だと明かしており、トムが本作における彼の重要性をどれだけ理解していたが分かる。
しかし、ヴァルの復帰には1つの問題もあった。
ヴァル・キルマー、がん闘病で気管切開
『トップガン』のほかにも、映画『バットマン フォーエヴァー』や『ドアーズ』といった代表作を持つヴァルは、2017年に咽頭がんで2年の闘病を経験してきたことを明かした。また、現在は気管切開をしており、以前のようには声が出せない。
2020年にアメリカの朝の情報番組『Good Morning America』に登場したヴァルは、「そう聞こえないかもしれないですが、元気なんですよ」と話し、気管切開について、「のどの線も腫れてしまったので、呼吸を助けるものなんです」と説明した。
がんは「非常に早く治りました」としたヴァルは、自分の声のどこが懐かしいかと聞かれると、「そもそも声があったということ! あと、海賊のように笑うことはなかった」とジョークを話し、気丈な振る舞いを見せていた。
そして、がんとの闘病を経て実現した『トップガン マーヴェリック』への出演。そのことについてヴァルは、2020年に米ETのインタビューで、こんな思いを語っている。
「私は絶好調です。私の声はセメントミキサーに轢かれたようですが、最高の気分です。調子の良い日も悪い日もあります。でもすごく改善していますから、そうですね、150歳まで働こうと思います。地球で1番の年寄りを演じたいんですよ」
声は変わったが、150歳まで俳優を続ける。そんな彼の思いに、涙が出ないファンはいない。2020年の映画『デッドヒート』では、娘のメルセデス・キルマーと共演を果たした彼は、今後も様々な作品で活躍していくだろう。
(フロントロウ編集部)