レベル・ウィルソンのアウティング騒動
映画『ピッチ・パーフェクト』や『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』で知られるレベル・ウィルソンは、6月初めにラモーナ・アグルマという女性との交際を公表して、40代にして初めてLGBTQ+であることをカミングアウト。しかしじつはこのカミングアウトは、レベルの母国オーストラリアの新聞シドニー・モーニング・ヘラルドが彼女を“アウティング”する記事を書くことを知ってのことだったことが発覚。シドニー・モーニング・ヘラルドとゴシップコラムニストのAndrew Hornery氏に大きな批判が集まっていた。
さらに悪いことに、Hornery氏はレベルのカミングアウト後に記事を発表し、レベルとラモーナの交際を聞きつけたあとにレベルにコメントを求めるメールを送ったところ、レベルがそれをスルーしてインスタグラムで記事の公開前にカミングアウトしたことを「騙した」「つまらない」といった言葉を使って批判。
この記事が炎上するなか、今度はシドニー・モーニング・ヘラルドのエディターであるBevan Shields氏が騒動にコメントし、「ヘラルド紙がウィルソンを『アウティング』したというのは間違いです」と否定したうえで、レベル側にメールで「単に質問」をしただけだと釈明して火に油を注いだ。この騒動の詳しい内容は、「新聞にアウティングされるからカミングアウトしていた、レベル・ウィルソンが騒動に反応」で読むことができる。
コラムニストが謝罪、メールの文面も公開
週末の炎上を受けて、Hornery氏が再びシドニー・モーニング・ヘラルドに『私はレベル・ウィルソンの件で過ちを犯しました。そしてこの一件から学びます』という記事を寄稿して謝罪した。
「私はこの件から新たに厳しい教訓を得ました。そして、自分が間違っていたことを率直にお話ししたいと思います」と書き始めたHornery氏は、「レベルがこの一件をつらいことだと感じたことは、本当に残念です。決してそのような意図はありませんでした」と語り、レベルに交際についてコメントを求めるメールを回答期限付き送ったものの、「(記事に)何を掲載するかどうかは、レベルの返答次第でした」と釈明。
さらに、レベルが記事をスルーしてカミングアウトすることを批判するようなトーンで書かれた前回のコラムについては、「土曜日の私のコラムはトーンがずれていました。私は間違ってしまった。がっかりしていたせいで、それが記事に影を落としてしまった。それはフェアではなく、謝罪します」と謝った。
そして、「人を“アウティング”することはヘラルドのすべきことではありませんし、私たちにそのつもりはありませんでした。しかし、私のメールがなぜ脅威と見なされたのか、その理由は理解しています。このメールの構成は間違いでした。今後ヘラルドと私は、セクシュアリティに関して人々が直面する複雑な要素を常に考慮できるよう、これまでとは異なる方法で取り組みます」とした。
Hornery氏が公表した、レベル側に送ったメールの文面
「レベルのパートナーの存在にはまだ言及されていないことは認識していますが、いくつかのソースから、2人の現在の関係を認める証言を得ており、私は記事を掲載するのに十分な詳細を持っています。しかし、透明性と公平性のために、出版する前にレベルに連絡を取り、彼女にとって幸せで思いがけないニュースだと思うこの記事に参加してもらえるかどうか確認したいです。とくに、最近はプライドがお祝いされていますからね。締め切りは金曜日の午後1時(シドニー時間)です」
一方、“アウティングしていない”と否定する記事を書いたエディターのShields氏は、ツイッターでHornery氏の謝罪記事を引用リツイートし、「ヘラルドはレベル・ウィルソンの件で過ちを犯しました。そしてこの一件から学びます」とコメントした。
Hornery氏はLGBTQ+当事者、騒動への後悔を語ったものの…
ちなみにHornery氏は前回の記事で書いた、「誰が誰と付き合おうがその人の勝手だが、ウィルソンはハンサムなボーイフレンドがいた時は、嬉々としてそんな下世話な興味を煽っていた」「性的指向は隠すべきものではなくなった時代」といった、LGBTQ+の人々が未だに経験している偏見や差別に対する正しい認識が足りない発言が問題になった。
今回の記事では、「ゲイの男性である私は、差別がどれほど深い傷を与えるかをよく知っています。その痛みを他の誰かに与えることこそ、私が最もしたくないことです」と釈明したが、同時に、「ゴシップコラムニストとして、(レベルの交際が)ネタになる可能性があることを察知しました。これまでのボーイフレンドの時もそうだったように」と発言。ただ単にセレブの交際を報じるのと、人のセクシャリティを勝手に公表する記事を書くのは完全に別ものであることへの理解が未だに足りないように取れる発言を繰り返した。
記者とヘラルド側からの新たな動きに対して現時点では反応していないレベルだが、昨日の時点ではツイッターで、「カミングアウトは恐ろしいことであり同時に素晴らしいものです。ただ、自分自身のやり方でやれるべきです」「このようなことは誰にも起こるべきではなく、あなたは素晴らしく優雅に対処していますね」などといったコメントをいいねしていた。(フロントロウ編集部)