エリザベス女王を描いた映画『クィーン』のスティーヴン・フリアーズ監督が、女王の死に思いを語った。(フロントロウ編集部)

反君主制で『クィーン』を制作したスティーヴン・フリアーズ監督

 2006年に公開され、その非常に高い評価から世界中で大ヒットした映画『クィーン』は、ダイアナ妃の交通事故死をめぐるエリザベス女王の苦悩を描く作品。本作のスティーヴン・フリアーズ監督は英国王室にまつわる映画『The Lost King(原題)』をふたたび制作し、イギリスで今年10月に公開を控えている。本作は15世紀のイングランド王リチャード3世の遺骨が、2012年にレスターの駐車場で発見された出来事を題材としたコメディで、先日トロント国際映画祭でプレミアを迎えた。

 『クィーン』は、第79回アカデミー賞で7部門にノミネートされ、エリザベス女王を演じたヘレン・ミレンが主演女優賞を受賞。英国王室への支持を復活させることにも繋がった作品だが、フリアーズ監督は君主制(※)に反対している。
 ※1人の支配者が国家を統治する体制。

 しかし、君主制はエリザベス女王が作り出したものではなく、国の在り方を批判することと、女王の死を悼むことは別の話。映画祭で米EWのインタビューに登場した監督も、「王室制度は別の問題で、女王自身は素晴らしい人でした。その死に対する反応を見れば分かります」と話し、「『クィーン』に関わった全員が女王のことを母親のように感じていましたから、非常に素直に悲しんでいます」と、1人の人としての女王に敬意を払い、哀悼の意を示した。

 さらに監督は、人生において選択の自由は少なく、特殊な責任や苦労が多かったであろう女王について、こんな思いをコメント。

 「私は女王になりたいと思ったことはない。ゾッとするような人生だったはずです」

 『クィーン』を制作するうえで、エリザベス女王や英国王室についてのリサーチはかなり丹念にしたであろう監督だからこそ、思うところがあるよう。

 『クィーン』の主演であり、女王とのお茶会にも何度か招待されたことのあるヘレンは、女王の訃報に際して「エリザベス女王の時代を生きたことを誇りに思います。王冠があってもなくても、高貴さの象徴だった女性を追悼いたします」とメッセージを綴った

 エリザベス女王の死を受けて、イギリス国内やイギリスの旧植民地で君主制の是非を問う議論が盛り上がりを見せている。イギリス連邦(コモンウェルス)の加盟国アンティグア・バーブーダでは、ガストン・ブラウン首相が共和制に移行するかどうかの国民投票を実施する方針を示した。また、エリザベス女王の肖像画が紙幣に使用されているカナダでは、英国君主の肖像画を使用する伝統を中止することについての会議が開かれたことがあるため、今後の判断に注目が集まる。

(フロントロウ編集部)

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