『ゴーストバスターズ』や『ロスト・イン・トランスレーション』などへの出演で有名なビル・マーレイの態度の悪さについて、告発が相次いでいる。(フロントロウ編集部)
黒人シンガーの髪について執拗に質問→両手で触る
ビヨンセの妹であるシンガーのソランジュが、ビル・マーレイに不適切な行動を取られたことを暗に認めた。
彼女は、2016年に米人気コメディ番組『Saturday Night Live』に出演したのだが、その際にビルは、彼女の髪の毛は地毛かウィッグかと3度も質問し続け、その後に彼女の頭皮を両手で触って確認したのだという。そして一連の出来事を目撃したテレビプロデューサーが、ツイッターで告発。「1年に1回リマインドしてるけど」としたうえで、ビルの行為は「白人の厚かましさ」だとした。
黒人は、アフロヘアやドレッドヘアといったストレートヘア以外の髪の毛をしていることも多く、その理由から歴史的に他の人種から髪の毛を興味本位で触られることがあった。自分の興味から相手の髪の毛を触ることは、白人だけでなくすべての人がしないように気をつけるべきこと。しかしビルはソランジュの髪について再三質問し、さらには触り、ソランジュはその行動を告発したツイートに“いいね”をつけて、彼の行為を暗に認めた。
ちなみにソランジュは、同年にシングル曲『Don’t Touch My Hair(意味:私の髪に触るな)』を発表しているが、この出来事が起こったのはリリース後のこと。
your yearly reminder that i saw Bill Murray put both his hands into Solange’s scalp after asking her three times if her hair was a wig or not.
— FLEEKNIK (@Judnikki) October 16, 2022
since the tweet is going around just wanna clear it up:
Don’t Touch My Hair is not about Bill Murray. She had just finished performing that song on SNL when he did it. that’s the audacity of whiteness.
— FLEEKNIK (@Judnikki) October 16, 2022
ビル・マーレイと共演の元子役、ゴミ箱へ投げ入れられた
アメリカで活躍する俳優のセス・グリーンが、9歳の頃にビルに受けたことを明かした。
現在48歳のセスは先日、YouTube番組『Good Mythical Morning』に出演し、当時の記憶を振り返った。元子役である彼は、9歳のクリスマスの時期に米人気コメディ番組『Saturday Night Live』でビルと共演した経験があり、驚きの出来事が起こったのは、そのバックステージでのことだという。セスは楽屋にあったソファの肘かけ部分に座っていたのだが、それを見たビルは激怒。「それは俺の椅子だ」と言い、セスにどくように指示してきたが、彼は断ったのだそう。
するとビルは…、9歳の少年の足首を掴んで持ち上げたという! そしてゴミ箱の前に移動し、「ゴミはゴミ箱に」と言ったとセスは振り返る。逆さ吊りにされ、ゴミ箱に捨てられそうになったセスはパニックとなり、腕と体を揺らし、その過程で「彼の玉としっかりコンタクトがあった」と語った。するとビルの手元が緩み、セスはゴミ箱の中に落下。セスは逃げて、衣装部屋のテーブルの下に隠れて泣いたという。
1974年生まれのセスが9歳の頃ということは、この出来事が起こったのは1983年前後とみられる。ビルの代表作である『ゴーストバスターズ』が公開されたのが1984年のこと。ビル側はセスの発言について、コメントを発表していない。

ロブ・シュナイダー、ビルは共演者を嫌っていた
セスの発言の少し前には、米ラジオ放送SiriusXMによる 『Jim Norton & Sam Roberts Show』のなかで、コメディアンのロブ・シュナイダーが、ビルは『Saturday Night Live』のキャスト全員を嫌っていたと話した。さらにロブは、ビルがとくに嫌っていたコメディアンはアダム・サンドラーとクリス・ファーレイだと明言。
ロブはコメディアンらしく、「嫌われている中で最もマシだったのは、私でしょう。彼のなかで私を嫌うレベルが低かったことは大きな喜びです。彼は私のヒーローなので」とコメント。そして、ビルは「ファンにはとても良い人」だとつけ加えた。
ジーナ・デイヴィス、ビルからのマッサージを拒否したらパワハラ
じつは、2022年10月にビルの態度の悪さについて明かしたのは、2人が初めではない。1990年の映画『クイック・チェンジ』でビルとともにメインを務めたジーナ・デイヴィスは、自伝『Dying of Politeness(原題)』のなかで、現場での彼の態度を告発している。
彼はホテルで彼女に会った際に、手に持っていたマッサージ機をジーナに使うことを強く求めてきたという。しかし彼女は拒否。するとその後撮影現場で、衣装を待っていたジーナに対して“遅刻した”と激怒し、トレーラーからセットまで追いかけながら、数百人のキャストやスタッフの目の前で怒鳴りちらしたという。

1990年に野球の試合観戦をするビル。
このことについてジーナは、英The Timesのインタビューで、「あれは酷かった。最初のミーティングにおける彼の態度は…。私はあそこから出て行くべきでした。もしくは、自分をちゃんと守るべきだった。そうなれば、あの役を得てはいなかったでしょうが。どう対応すべきか、オーディション中にどうすれば良いかを知っていれば、あんな扱いは避けられたのでしょう。しかし私は衝突を避けるタイプだったのです」と振り返った。
また、記者から自分を責めていると指摘された時には、「良い点ですね。後悔する意味はない。しかし私は今後悔している。そしてイエス。そうです。あれは私のせいではない」と話し、起こってしまった出来事への気持ちの折り合いは簡単につけられるものではない様子を見せた。
ビル・マーレイの不適切行動が原因で新作映画が調査される
しかし、業界の状況は良くなっていると言えるかもしれない。
2022年4月には、映画『Being Mortal(原題)』の撮影が一時中断となった。その原因は、現場でのビルの不適切な行動に苦情が申し立てられたからだという。
詳細は明らかになっておらず、製作会社のサーチライト・ピクチャーズは、調査中のためコメントを差し控えるとしている。
『チャーリーズ・エンジェル』の現場でもひんしゅくを買っていた
また、2021年7月には、2000年公開の映画『チャーリーズ・エンジェル』の撮影現場での出来事が話題になった。映画ファンの間では、本作の撮影中にルーシー・リューがビルを殴ったというウワサが長らく囁かれてきたのだが、これについて当時の制作アシスタントや、ルーシー本人が21年越しにコメント。

2000年に撮影されたビル。
脚本の変更が原因でビルの態度が悪くなり、ルーシーにも悪態をついたため、彼女がキレたが、殴ることはなかったという。また、アシスタントによると、多くのスタッフもルーシーを擁護する立場を取ったという。
この出来事についてルーシーは、「ビル・マーレイに対しては何のネガティブな感情もありません」としたうえで、「あの出来事の後で覚えているのが、『私がこういうことをした』と報道されたことです。状況が反対側から捉えられて、『厄介なのは女性のほうだった』と自動的に捉えられてしまったことは驚きでした」と、物事を女性の責任にする社会的風潮を批判した。
ロブ・シュナイダーが「ファンにはとても良い人」と語ったように、ファン人気が非常に高い、コメディのレジェンドであるビル。ハリウッドでは不適切な態度が長年許されてきた大物に対する告発が数年前から続いているが、ビルにとっても、まわりのことを考えない態度が許される時代の終焉が訪れている。
(フロントロウ編集部)