サミュエル・L・ジャクソンが冷静に反論
ここ数年でたびたび映画制作者の間で巻き起こっているMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)映画はシネマか否か論争。大御所監督マーティン・スコセッシが「あれ(マーベル映画)はシネマだとは思わない」と発言したことが始まりで、その後フランシス・フォード・コッポラ監督も賛同したことから、映画制作に携わる様々な立場の人々から意見があがっている。
そんななか、先日、クエンティン・タランティーノ監督がMCU作品に苦言。ポッドキャスト番組『2 Bears, 1 Cave』で監督が話した思いは、MCU作品がシネマかどうかという点と少し異なり、ハリウッドがマーベル化していることへの危惧。そして、ニック・フューリー役のサミュエル・L・ジャクソンや、『シャン・チー』のシム・リウが反応したのが、MCU作品から“映画スター”は生まれていないという意見だった。
「あれらのキャラクターを演じて有名になった俳優たちがいます。でもその俳優たちは映画スターではない。そうではないでしょうか?キャプテン・アメリカはスターです。もしくは、ソーはスターです。これを言うのは私が初めてではないでしょう。数えきれないほど言われてきたことだと思いますが、スターになっているのはフランチャイズのキャラクターです」
この意見に対してシムは、タランティーノ監督やスコセッシ監督は天才だと思うが、MCUがなければ自分が数百億円規模の映画で主演を務めることはなかったとコメント。ハリウッドが抱える人種差別の側面から反論した。
そして、『パルプ・フィクション』や『ジャンゴ 繋がれざる者』、『ヘイトフル・エイト』などに出演してきたタランティーノ監督作品の大常連であり、MCU俳優でもあるサミュエルも、米EWのインタビューで監督の意見に反応。
「これら特定のキャラクターになるには、(適切な)俳優が必要です。そして映画のスターダムの証はいつでも、何?興行成績だった?私たちは何を話していたんでしたっけ?」と話し始めたうえで、MCU俳優たちは映画スターだとして監督とは反対の意見を述べた。
「これらの(MCU)俳優たちが映画スターであることを知るのは、私にとっては大きな議論が起こるものではありません。チャドウィック・ボーズマンはブラックパンサーです。それに反論は出来ない。そして、彼は映画スターです」
サミュエルはスコセッシ監督の発言についても過去に反対の意見を述べており、「映画は映画。誰もがマーティンの映画を好きだというわけでもないし、それぞれに意見があっていいと思います。それで誰かが映画作りをやめるきっかけにもならないですし」と冷静なコメント。別の時には、「すべての映画は正当なものですよ」「心を動かされるために映画館へ行く人たちもいますし、スーパーヒーローが好きな人たちもいます」と発言していた。
70年代から俳優として様々な作品に出演し、各国の映画賞で評価されてきたサミュエル。彼はMCUの功績も評価している。
(フロントロウ編集部)