海のシーンを実際に水中で撮影した『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
映像に徹底してリアルを追求し、撮影技法にもとことんこだわることで知られる巨匠ジェームズ・キャメロンが手がける『アバター』の13年ぶりとなる続編『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が、2022年12月16日に公開を迎えた。
ナヴィたちが暮らす惑星パンドラの海を舞台にストーリーが展開される本作でも、公開までに前作から13年の期間を要したことが象徴しているように、キャメロン監督の撮影への徹底したこだわりが貫かれており、海でのシーンは実際に巨大タンクを作り、それに水を入れて水中で撮影が行なわれた。
その上、撮影ではパフォーマンス・キャプチャーの形で撮影を行わなければいけなかったため、クリアな水のまま撮影を行なうことが絶対条件に。クルーやキャストたちは水中で息を止めて撮影を行なった。
ケイト・ウィンスレットがハリウッド記録となった水中での撮影を振り返る
撮影に臨む前には水中のエキスパートからフリーダイビングの技術を学び、万全の大勢で行なわれた水中でのパフォーマンス・キャプチャー。水中で息を止めながらという特殊な方法で行なわれた本作の撮影では、ハリウッドにおける水中で息を止めて行なう撮影の最長記録が打ち立てられることとなった。
その記録を打ち立てたのは、本作が映画『タイタニック』以来となるキャメロン監督との仕事となった、ロナル役のケイト・ウィンスレット。
なんと、ケイトは同作で息を止めたまま7分14秒にわたって水中で撮影。かつてトム・クルーズが映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』の撮影で打ち立てた、6分〜6分半という記録を大幅に上回ってハリウッド記録を樹立した。
ケイトにとっては文字通り命がけの撮影だったようで、英Total Filmとのインタビューで「水面に浮上したときに、『私、死んでる? 私死んだの?』と言っている私のビデオもあります」と、撮影当時を振り返っている。「すぐに自分のタイムを確認しましたよ。信じられませんでした」。
とはいえ、スタントに強いこだわりを持っていることで知られるトムの記録を破って新記録を樹立したケイトだが、記録のことは意識していなかったよう。「私は単にそういう記録を出す機会があったというだけですよ」と語ったケイトは、「私は6分14秒という自分の記録を破りたかったんです。『超えていますように!』っていう感じでした。自分の記録を1分も更新することができたのです」と語って、自分自身の最高記録を破ろうとした結果が今回の記録に繋がったと説明した。
ちなみに、メガホンをとったキャメロン監督自身も趣味で約50年にわたってダイビングを楽しんでいるが、オフィシャルリリースに明かしたところによれば「息止めの最長時間は5分半ですよ」とのこと。ケイトはダイビング歴半世紀の監督の記録をも破ってみせ、俳優としての本気を示した。(フロントロウ編集部)