『タイタニック』で女性が経験した“苦しさ”とは?
1997年に公開され、当時の歴代世界興行収入で第1位となった映画『タイタニック』。ケイト・ウィンスレットとレオナルド・ディカプリオが演じたローズとジャックの悲恋を描いた本作は、撮影が過酷だったことでも知られている。そして、女性キャストたちは共通した苦労を経験していたよう。
ケイトが演じたローズの母親ルース・デウィット・ブケイターを演じたフランシス・フィッシャーによると、その原因は衣装。彼女は米Vultureのインタビューで、「素晴らしい衣装デザイナーのデボラ・スコットが、私たちを内側からドレスアップしてくれた」と話したが、そのうえで、「コルセットをつけることで、呼吸の仕方や姿勢が完全に変わりました。誰も正しく呼吸できなかった。あとヘアスタイルもですね。私の髪の毛は巨大な帽子の下にヘアアップされていました」とコメント。休憩中も衣装が原因で休めなかったという。
「コルセットは体にめりこみ、体をうしろに倒すことができませんでした。帽子もとても大きかったですしね。休憩のためのボードがあったのですが、髪の毛を大きな帽子の中にアップしていた人は誰もそれを使うことはできませんでした。全体の比率がおかしかった」
タイタニックの舞台は1912年。1910年代から20年代で、衣装デザイナーのレオン・バクストやファッションデザイナーのポール・ポワレ、ココ・シャネルらが脱・コルセットで時代を変えたが、フランシスの経験からは、この功績の偉大さも改めて感じさせられる。
そしてフランシスは、着るだけで苦労を伴う衣服は、着る人の性格にも影響したと考えているという。「それらはルースが持つ気難しさに影響してくれたとも思います」と続けた。
キャラクターを説明する機能を持つ衣装は、『タイタニック』でも非常に重要な役割を果たした。デザイナーのデボラは2017年に米CR Fashion Bookのインタビューで、着替える頻度、手袋をつける時、ドレスのマナーはすべてに意味があり、各キャラクターの階級を表していると説明。そして、フランシスが言うように、帽子が巨大だったのはジェームズ・キャメロン監督の意向だったそう。それは富の象徴であるため、「帽子を出来るだけ大きく、しかし滑稽ではないように作った」という。
ちなみに、もちろん豪華な衣装が水に濡れるのは大変なことであり、多くのレプリカが作られたとのこと。衣装を着る人にとっても、制作するチームにとっても大変だった『タイタニック』の撮影だが、そのかいあって、アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞している。
(フロントロウ編集部)