FRONTROW

性的虐待やカニバリズムを告発されてハリウッドから消えたアーミー・ハマー、レイプ疑惑を改めて否定

FRONTROW Editorial Dept.
BY FRONTROW Editorial Dept.
性的虐待やカニバリズムを告発されてハリウッドから消えたアーミー・ハマー、レイプ疑惑を改めて否定

相次ぐスキャンダルによって出演を予定していた全作品を降板し、ハリウッドから姿を消した俳優のアーミー・ハマーが、騒動後初のインタビューに応じた。(フロントロウ編集部)

“売れっ子俳優”がハリウッドから姿を消したワケ

 スキャンダルによって出演を予定していた全作品を降板し、俳優業の休業を余儀なくされた俳優のアーミー・ハマーが、騒動後初となるインタビューに応じた。米Air Mailとの独占インタビューで、アーミーは性的虐待などの疑惑に答え、犯罪行為を否定する一方で、人を利用して前に進む身勝手な「クソ野郎」であったことを認めた。

アーミー・ハマーをめぐる疑惑と騒動を振り返る

 映画『君の名前で僕を呼んで』で脚光を浴びて以降、話題作への出演が目白押しで、さらなる活躍が期待されていたアーミーだが、2021年、カニバリズム(食人)や危険な性的願望を綴ったメールが流出し、複数の女性から性的虐待を告発されたことがきっかけで、出演を予定していたすべての映像作品および舞台の降板を余儀なくされた。

 アーミーは弁護士を通じて自身にかけられた疑惑を否定しているが、一連の騒動をうけて、所属する大手タレントエージェンシーのWMEはアーミーとの契約を解除。長年、パブリシスト(広報担当のエージェント)を務めてきた人物も彼のもとを離れた。以来、アーミーは表舞台から姿を消しており、今後の俳優活動についても不透明となっている。

 騒動後、アーミーは酒や薬物、セックスの問題で治療を受けるためにフロリダ州にあるリハビリ施設に入所。施設を退所してからしばらくのあいだケイマン諸島で生活を送っていたが、現在はロサンゼルスに戻っている。

BDSMに興味を持ったきっかけや、性的虐待を告発した女性たちについて

性的虐待がきっかけでBDSMに興味

 アーミーは、13歳のときに青年牧師から性的虐待を受けたことがきっかけで、BDSM(※)に興味を持ったという。
※Bondage(緊縛)、Discipline(しつけ)またはDomination(支配)、Sadism(サディズム/加虐性愛)またはSubmission(服従)、Masochism(マゾヒズム/被虐性愛)の略で、お互いに同意にうえで相手をコントロールしたり、快楽のために痛みを与えたり受けたりするロールプレイ。

 「(13歳で性的虐待を受けたことで)私の人生に性的なものが入り込み、それが完全にコントロール不能になったのです。私はその状況下で無力でした。私はその状況において何の権限も持っていませんでした。私はセクシュアリティというものを、自分ではコントロールできない怖い方法で紹介されました。その後、私の興味は『その状況において、相手を性的にコントロールしたい』という方向に向かいました」

被害を告発した女性たちを精神的に虐待

 アーミーは性的虐待を告発した元恋人のコートニー・ヴセコヴィッチとペイジ・ロレンツェについて、性的な力関係が破綻していたことや、女性たちを精神的に虐待していた可能性を認めた。

 「私は30代で、彼女たちは20代半ばでした。当時、私は売れっ子俳優でした。彼女たちは私と一緒にいられるだけで幸せで、本心では『イエス』と思っていないことに対して『イエス』と言っていたかもしれません。パワーバランスが崩れていたんです」

レイプではなく“計画されたもの”だと主張

 2016年から2020年の約4年間にわたって不倫関係にあったエフィと名乗る女性からレイプ被害を告発された件について、アーミーは合意の上で行なったものだと主張した。

 「このレイプ疑惑は、彼女のアイデアによるシーンでした。彼女は、私がどのスターバックスで彼女に会うか、どのように彼女の家までついて行くか、どのように玄関のドアを開けて鍵を開け、私が入ってくるかまで、すべて詳細に計画していました。私たちは(レイプのシナリオをロールプレイする)合意の上での非合意の行為を行なったのです」

 ちなみに、被害届を受理したロサンゼルス市警は約9ヵ月間にわたって捜査を行なったが、2021年12月にすべての捜査を終了し、事件をロサンゼルス郡地方検事局に送致した。最終的な判断は検察に委ねられているが、米TMZは証拠不十分で不起訴になる可能性が高いとしている。

騒動後、救いの手を差し伸べてくれた先輩俳優

騒動後に自殺を考えた

 相次ぐスキャンダル発覚によって人生が狂い始めたとき、自殺することも考えたというアーミーだが、別れた妻のエリザベス・チェンバースとの子であるハーパー(8)とフォード(6)のことを考えて踏みとどまったという。

 「溺れるか、ボートに轢かれるか、サメに食われるか、そのどれかになればいいと思いながら、ただ海に出て、泳げるところまで泳ぎました。でも、子どもたちがまだ岸にいることに気づき、子どもにそんなことはできないと思いました」

先輩俳優のロバート・ダウニー・Jrが救いの手

 アーミーがリハビリ施設で治療を受けるための費用を俳優のロバート・ダウニー・Jrが肩代わりし、施設を退所したあとの滞在先も提供したと報じられたが、その話は事実だった。

 「ロバートもそのひとりですが、挫折を経験した人たちが、新しい道を歩むことで救いを見出すという例はどこにでもあります。それが、昨今のキャンセル・カルチャーや意識の高い暴徒(Woke Mob)に欠けているものだと思います。悪いことをしたらすぐに捨てられ、更生の機会も与えてもらえません。人々は自分たちを守るために、私のような人間を火の中に放り込みますが、彼らのやっていることは火を大きくしているだけです。そしてその火は今、制御不能となり、みんなを焼き尽くしてしまうのです」

アーミーは今、どうしてる?

現在と今後について

 過去の自分は「クソ野郎だった」と話すアーミーは、騒動後、自分自身を改善するために多くの時間を費やしてきた。

 「私は自分の過ちを認め、自分が最低の人間だったこと、利己的だったこと、自分をよく見せるために人を利用したことに責任を持ちます。そして、禊(みそぎ)が済んだら前に進むつもりです。私は今、より健康で、より幸せで、よりバランスの取れた人間になっています。子どもたちにも、これまでとは違う形で寄り添ってあげられるようになりました。自分の人生、回復、すべてに心から感謝しています。過去に戻って、すべてなかったことにしようとは思いません」

 なお、薬物の使用が自身の人生に大きな悩みとトラブルをもたらしたことを自覚するアーミーは、リハビリを経て回復した今、自分と同じような問題を抱える人たちの回復を助ける活動に力を入れているそうで、近々、リハビリ中の男性との同居を開始する予定だという。(フロントロウ編集部)

MORE

FEATURE

RECCOMEND