年齢に応じて繰り返し教えたい、「包括的性教育」とは
ユネスコ(UNESCO=国連教育科学文化機関)が重要な教育として提唱する「包括的性教育」。
包括的性教育とは、身体や生殖の仕組みだけでなく、人間関係や性の多様性、ジェンダー平等、幸福など幅広いテーマを取り上げる教育。子どもや若者たちは包括的性教育を通して、人生において責任ある選択をするための知識やスキルを学ぶことができ、とくに10代の女の子たちにとっては、予期せぬ妊娠や出産、ジェンダーに基づく暴力から身を守り、周囲の人を大切にしつつ、自尊心や自信を高め、豊かな人生を送るために役立つ。
日本での「包括的性教育」の現状は? 3割のユースが「不十分」と感じている
日本の教育現場では、包括的性教育はまだ導入されていない。2021年にプラン・ユースグループが行なった「ユースから見た日本の性教育の実態調査」では、「性教育で扱っている内容も限定的で、子どもや若者はセクシュアリティについて学校で十分に学ぶことができていない」ことが浮き彫りになった。
日本の性教育の最大課題は「歯止め規定」。プラン・ユースグループは実態調査のなかで以下のように記述している。
「2021年現在の学習指導要領を見ると、小学校5年生の理科で「受精に至る過程は取り扱わない」、中学校1年生の保健体育科で「妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から、受精・妊娠を取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わない」と書かれている。これは、教師が児童・生徒に性行為について教えることができないことを意味し、これを「歯止め」と表現して「歯止め規定」と言うことが多い。妊娠の経過を教えないと、生徒は「どうしたら妊娠するのか」「コンドームはなぜ使うのか」などを本質的に理解することができない。性行為について教わらないで、 私たちユースはいったいどのように自分の身 を守る術を身に着けることができるというのだろうか。また、たとえ避妊方法について学んでいても、いつ妊娠するか、中絶をするか選択するなど、自分の体のことを自分で決めることができる権利、 いわゆる性と生殖に関する権利については知る機会を与えられていない」
そしてこの調査では、日本の学校で行なわれている性教育について、約30%のユースが「不十分」であると感じており、人権やジェンダー、人間関係などを含む幅広い内容について体系的に学ぶ「包括的性教育」を求める声が高いことが明らかとなった。
助産師/性教育YouTuberのシオリーヌさんと性教育を考える
2023年3月8日の国際女性デーにオンラインで無料開催される「シオリーヌさんと考える『性教育』~互いを尊重しあえる人間関係を築くには?」では、助産師/性教育YouTuberとして、性教育について精力的に発信しているシオリーヌ氏が登壇し、女の子や女性のエンパワーメントにもつながる「包括的性教育」の重要性についてトークをする。
聞き手は、プラン・ユースグループメンバー。ユースの視点を交えてどのようなトークが繰り広げられるのか? ユースにとっても、ユースと関わる教師や親などその他多くの人が関心を持つべくトークとなるだろう。参加申し込みは当日の開催時間20時まで可能だが、500名の定員は先着順で埋まっていくので参加申請はお早めに。
「シオリーヌさんと考える『性教育』~互いを尊重しあえる人間関係を築くには?」
- 日時:2023年3月8日(水)20:00~21:30
- 場所:Zoomウェビナー
- 定員:最大500人(先着順)
- 参加費:無料
- 申し込みURL:https://go.plan-international.jp/event_230308/
- 参加申し込み締切日:3月8日(水)20:00
■当日のプログラム
1.国際女性・デーとは
2.包括的性教育について、国内外におけるプランのアプローチから読み解く
3.トークイベント「助産師/性教育YouTuberシオリーヌさんと考える本当に大切な性教育」
3.プランの活動紹介
(フロントロウ編集部)